可能性のバイミー

360回転

ブリリアントな生き様ですね?

執筆した"ダイヤのように"を見てもらい、私は恐る恐る言った
「小説の感想は?…」
私の問いかけに、バイミーさんは真面目な顔をしながら感想を口にする
「うーん、誤字脱字が多いように感じました…」
「それについては言い逃れできない…」
「それと、ダイヤを強くて美しい存在だと定義していますが…ダイヤが割れやすいのはご存知ですか?」
「知ってるわ…書いた当時は知らなかったけど、靱性が弱いと言うのを後から知って悶絶したわ…」
「そうです…じんせいは弱いのです…全てを反射して輝くのは美しい生き方ですが、ダイヤのような生き方ではいずれ砕けてしまうかもしれません…幸せは与えるだけではなく、受け取る事も時には大事です…小説のような生き様も、かっこいいとは思いますが…」
「もしかして気を遣ってる?…」
「いえ、私は思った事を口にしたまでです!…私に感想を貰う事で、なにかを確かめようとするぐらい、あなたは勇敢な人ですから…今後の人生も上手くいくのではないかと、私は思っていますよ?」
「ありがとう、バイミーさん…私ここに来て、あなたに会えて良かった…」
私がそう言うとバイミーさんは微笑みながら、鎌を持ち上げる
「お役に立てたのなら良かったです…あなたが幸せになる事を遠くから願っておきますね…あとダイヤを傷つけられる存在についてですが…」
言いかけるバイミーさんの言葉を遮るように、私は言った
「ああああああ、もう小説の話は良いです!!大丈夫です!分かってますから!…」
「そうですか…それでは、お元気で…」
彼女が言いながら鎌を振ると、私は眩暈めまいに襲われる…
気づくと私は、見知らぬ男性とデートをしていた…
見知らぬと言っても、本当に知らない訳ではない
私は彼の事をモニターでしっかりとチェックしてから、バイミーさんと別れた
過去改変でキャバクラで働く未来を潰し、大学を卒業した私は、中小企業に就職をして働いていた…
そこで出会い、付き合い始めた男性が、今目の前に居る彼だ…
モニターで見た彼はとても優しく、私は彼となら幸せになれるかもしれないと、そう感じている…
「そろそろ映画が始まる時間だね?」
彼がそう言うと、私は尋ねた
「あー何の映画だっけ?」
「さっき一緒にチケット買ったのにもう忘れたの!?"ライトニングウーマン"って映画でしょ?」
「ああ、そうだった」
合わせるように言うと、彼は私の手を掴んで、映画館へと歩き始める……

………………

"ライトニングウーマン"を見終わった彼は私に言った
「生き様がかっこよかったね?…僕も彼女みたいに強くなりたいな〜」
彼の感想を聞き、私は言った
「うん、私も同じ感想…」
「どうしたの?テンション下がってる?」
「ううん…なんでもないよ…」
暗い雰囲気を察した彼は、私を元気付けようと変なギャグを言い始める
私はそんな彼を見て、真面目な事を考えているのが馬鹿らしくなり、自然と笑顔になっていた…

……………

デートを終えた帰り道、私は彼に言った
「ねえ、あなたに見せたいモノがあるんだけど…」
………………

エピローグ

バイミーは出された小皿の中に入っている、小さな粒を見つめながら言った
「なんですかコレは?…」
小さな粒が連なり一つの塊になっている白色の物体は、一見すると白米のようにも見える
「これは真白豆ましろまめと言って、とても栄養価の高い食材ですよ〜!」
隣に立つスイカがそう言うと、バイミーは首を傾げつつ言った
「スイカにしては珍しいですね?…調理を行なっていない食材をそのまま出すなんて…」
「まぁ私は食べた事がないので、じっけん…じゃなくて、バイミーに先に味わって欲しくてですね…この食材は醤油をすこーしかけるだけで、物凄く美味しくなる、チート級の食材らしいですよ!…しかも!混ぜる回数を増やした分だけ美味しさが増すんです!…」
「よくある醤油ありきの食べ物ですか…それでは早速…」
バイミーがテーブルに置かれている醤油差しを持ち上げると、スイカは慌てながらバイミーに言った
「ストオオオオープ!!駄目ですよ!これはしっかりと掻き混ぜてから醤油を入れるんです!!掻き混ぜる前に醤油を入れちゃうと、菌が繁殖しなくなりますから…美味しさがアップしなくなってしまいますって…」
「スイカ…説明が遅い…」
バイミーは真白豆ましろまめに醤油を垂らしてしまい、絶望感を露わにする
「あちゃー…やっちゃいましたねー…」
スイカがそう言うと、バイミーは尋ねた
「取り返しは付かないのですか?…」
「お得意の過去改変をするしかありませんね〜これは」
スイカの言葉を聞いたバイミーは、勢いよく椅子から立ち上がり、鎌を持ち上げる
「ちょっと!冗談ですから!そんな事に力を使わないでください!…もう美味しさアップは望めませんが、それでも美味しいはずですから!」
スイカの言葉を聞き、バイミーは持ち上げていた鎌を下げ、再び席に座った
醤油が少しだけかかった真白豆ましろまめを見つめるバイミーは、用意されていた箸を掴み、真白豆ましろまめを掻き混ぜる

シャカシャカ

真白豆ましろまめに粘りついている糸が、赤黒い醤油に絡みつくと、粒の一つ一つがツヤツヤとした輝きを放つ…
「それでは、お味、失礼します…」
手を合わせてから呟くバイミーは、箸で掴んだ真白豆ましろまめの塊を口の中に運ぶ……

………

「これは…美味すぎる!…スイカ…白米も!」
バイミーの言葉に、スイカは白米を持ってくる
白米の上に真白豆ましろまめを乗せると、バイミーは唾を飲み込み、呟く
「これは絶対美味しいですよ…」
真白豆ましろまめが乗った白米を、お箸で器用に掴んだバイミーは、ホカホカと立ち昇る湯気を吸い込みながら、口の中に真白豆ましろまめと白米を入れた…
箸で白い糸を引くバイミーは、ほっぺに手を当てながら呟く
「これは…やばいですよ…」
バイミーの箸は止まる事なく動き続け、やがて白米と真白豆ましろまめは姿を消した…
「スイカ!おかわり!」
バイミーの台詞にスイカは笑いながら
「もう、しょーがないですね〜今度はしっかりと混ぜてくださいね?」と言い、すぐに新しい真白豆ましろまめを用意する
バイミーは再び出された真白豆ましろまめを見て、スイカに言った
「何処まで美味しくなるのか試してみましょう!スイカ!限界まで掻き混ぜてください!」
「えー!?私が混ぜるんですか!?…もう、しょーがないですね…」
スイカはそう言うと、真白豆ましろまめを掻き混ぜ始める…
バイミーは彼がギブアップをするその時まで、真白豆ましろまめを食べる事を我慢し続けた……


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