可能性のバイミー

360回転

依存していたあなたよりも魅力的に見えますよ?

「ほんにゃらほにゃほにゃほにゃにゃにゃにゃ」

ガン!

「ほんにゃらほにゃほにゃほにゃにゃにゃにゃ」

ガン!ガン!

バイミーさんの呪文を聞きながら、 雷雅らいがくんの事を考える…彼はクラスの中でも浮いていた…
私が高校生の時に居たクラスは、外面そとずらの良い生徒が多い…
優等生な振る舞いをする生徒達の中で、彼だけが異質な空気感を纏っていた…
空気感と言えば匂いもそうだ…彼はいつも"パール"と言う名前のタバコを、父親に内緒で持って来ては、学校の近くで吸っていたのを覚えている…
その事で、学校の先生から呼び出しをされたりもしていたが、当時の私はそんな彼を、周りとは違う素敵な存在だと認識していた…
今思い返せば、それが良いモノではないと、すぐに理解できるが…当時の私は彼との関係が永遠の愛に繋がっているのだと本気で信じていた……

…………

足元の光が消えると、バイミーさんは静かに告げる
「過去への干渉は終わりました、あなたの未来は書き換わり、最善の未来を引き寄せました」
 雷雅らいがくんと付き合わない未来になった?」
私が問いかけると、バイミーさんは首を横に振りながら答える
「いいえ、あなたは 雷雅らいがさんと付き合いました…」
「え…なんで?…告白を断るように誘導してくれたんじゃないの?…」
「はい、告白を断る事には成功しました…その後、彼は再びあなたに告白をします…2度目のアタックに心を撃たれたあなたは、彼と付き合う事にしたみたいですね…」
 雷雅らいがくんが2回も…」
「はい、その後あなたは 雷雅らいがさんと別れました…以前の流れなら大学生の時に太一さんと恋人になるはずでしたが…あなたは誰とも付き合わず、キャバ嬢になります…」
「キャバ嬢?…私が…なんで?」
「あなたの心がどう動いて、キャバクラで働く事になったのかは、私には分かりませんが…あなたはお店の中でも結構人気があるみたいですね…給料もしっかり貯め込んでいて、恋人は居ませんが、楽しく暮らしているようです…」
私はバイミーさんの言葉を聞きながら、モニターに映る人生をチェックし始める
 雷雅らいがくんを振った事で、彼と付き合ってる期間が少しだけ短くなってはいるが…何故自身がキャバ嬢になっているのかが映像から全く見えて来ない…
そもそも私は何故、太一くんの告白を断っている?…
確かに太一くんは歴代彼氏の中でも、一番性的魅力に欠ける人物だ…
 雷雅らいがくんや拓海のように体格ががっちりしているタイプでも無いし、時也や陽太のように色気があるタイプでもでもない…
私が彼を振った理由は、一緒に居てもドキドキしないからであり、彼の事は恋愛対象としてら見られないと言うのが、正直な所ではあった…
しかし、傷心中の私は彼を救世主のように感じていたはずだ…
付き合った後に別れるのは理解が出来るが、告白を断ると言うのは理解ができない…
太一くん…今はどんな生活を送ってるんだろう?…
「バイミーさん、このモニターって自分以外の人生を見る事とかできない?…太一くんの現在がどうなってるかを知りたいんだけど…」
私の問いかけに、バイミーさんは言った
「このモニターを使って他人の人生を見る事は出来ません…」
バイミーさんの言葉を聞いた私は、太一くんの人生を見る事を諦め、モニターチェックを続ける…
どうやら"ダイヤのように"は執筆しているらしい…
映像を隅から隅までチェックし、私は頭を働かせる…
キャバ嬢になった私は確かに幸せそうだ…
ただ、バイミーさんの言うように、キャバ嬢になった私と現在の私ではギャップが大きすぎる…
もし、今の私がキャバ嬢になったとして、映像の中の私のように、しっかりと仕事をこなす事は難しいはずだ…
であれば、キャバ嬢になる未来は回避した方が無難かもしれない
「キャバ嬢になるのはギャップが大きすぎるわ…多分、今の私が働いても、1日もしないうちにギブアップすると思う…」
「ベテランであるはずのあなたが、急に初々しくなったら、客も戸惑うかもしれませんね…」
「でしょう?…なんで急にキャバクラで働こうと思ったんだろ…自己肯定感を付ける為とか、そう言う事?…」
「私にも分かりません…ただ、男性に依存していたあなたよりも魅力的に見えますよ?…個人の感想ではありますが…」
「私にもそう見える…でも彼氏は欲しい…」
私の呟きを聞き、バイミーさんは少しだけ考えるような仕草をしてから言った
「それじゃあ次の改変は太一さんの告白を断らない方向へ誘導しますか?…まぁあなたが太一さんの事をそこまで好きじゃないなら、私が働きかけても無駄に終わる可能性はありますが…」
「あなたの力ってNOをYESに変えたり、YESをNOに変えたり出来る訳じゃないんだ?…」
「そこまで万能な力ではありませんよ…私はあくまできっかけを与えたり誘導するだけですから…あなたの意思が強ければ、白米を食べないように働きかけても、あなたは白米を食べてしまいます…」
「白米で例えるの好きね?……次の改変だけど、もう少しだけ考えてから決めて良い?…」
「はい、問題ありません…この空間では時間の流れが遅いですから、思う存分、考えてから決めてください…」
バイミーさんの言葉に、私は最善の改変場所がないかを考え続けた………

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