可能性のバイミー

360回転

私に全てを曝け出す覚悟がありますか?

巻き戻した映像の中から、祐二ひろつぐくんのSNSをブロックした日を見つけた私は、バイミーさんにそれを伝えた
「それでは、あなたが彼をブロックした10月8日に干渉を行い、あなたがブロックをしないように働きかけます…」
バイミーさんの台詞に私が無言で頷くと、彼女は補足するように言った
「一花さん…あなたの過去へ干渉するにあたり、私はあなたの過去を知る事になります…あなたが必死に隠そうとしていた全てをです………私に全てを曝け出す覚悟がありますか?……」
彼女の問いかけに私は少しだけ考える
バイミーさんに私の人生が全て知られてしまう…それは、なかなか受け入れ難い事だ…
しかし、私は今の人生も受け入れたくはない…
今の人生を受け入れるか、バイミーさんを受け入れるか…二つを天秤にかけると答えはすぐに決まった
「いいわ…バイミーさん…あなたに私の人生を見せてあげる…」
私がそう言うと、彼女は微笑みを浮かべながら言った
「ありがとうございます、それではあなた人生のターニングポイントに干渉を行います…」
バイミーさんは死神のような鎌を手に持ち、それを床に打ちつける

ガン!ガン!

「ほんにゃらほにゃほにゃほにゃにゃにゃにゃ!」

ガン!

「ほんにゃらほにゃほにゃほにゃにゃにゃにゃ!」

ガン!ガン!

猫のような呪文を唱えながら、床を鳴らすバイミーさんを見ていると、急に私の足元は発光し始めた…
アニメで見たような光景が目の前で行われている…
私はなにをする事もできず、ただただ光を見つめ続けた…

バイミーさんが呪文を言わなくなると、私の足元の光もゆっくりと輝きを失っていく…
すこしの沈黙を挟んでから、バイミーさんは私に言った
「過去への干渉は終わりました、あなたの未来は書き換わり、最善の未来を引き寄せました」
祐二ひろつぐくんを…ブロックしなかった未来になったって事?…」
私の質問に彼女は頷きながら答える
「はい、あなたのブロック行為は一時の気の迷いみたいなモノでした…なので、その後、彼のSNSをブロックするような事はありませんでした…」
「と言う事は…私は祐二ひろつぐくんの気持ちを受け入れた?…」
「いいえ、あなたは現在と変わらず、今の彼氏と付き合っており、そして祐二ひろつぐさんとは疎遠になっています…」
「せっかくブロックしないであげたのに疎遠…祐二ひろつぐくんはなにもして来なかったの?…」
祐二ひろつぐさんがなにもしなかったと言うよりは、あなたが現在の彼氏に夢中すぎて、祐二ひろつぐさんの事は眼中になかったのでしょう…」
バイミーさんの話を聞いて、私は納得していた…
私は一途なタイプで、彼氏が出来ると他の事がどうでもよくなるタイプだ
祐二ひろつぐくんの気持ちには気付いていたけど、それでも私は祐二ひろつぐくんではなく、時也ときやを選んだと、そう言う事だろう…
ブロックしなかったからと言って、結ばれる相手が変わる訳ではない、当たり前の事だ
私はバイミーさんに尋ねる
「今の彼氏と付き合わずに、祐二ひろつぐくんと付き合うように誘導する事とかって出来ない?…」
私の質問に、バイミーさんは少しだけ考える仕草をしてから言った
「難しいとは思います…付き合う相手を変える為には、あなたの今の彼氏…時也さんへの熱を冷まし、祐二ひろつぐさんの事を好きにさせる必要がありますから…残りの寿命33年を、あと何回使えばそれが実現するのかは、私にも分かりません…」
バイミーさんの話を聞いた私は、良い改変について考えを巡らせる
時也ときやと付き合う未来に、明るい人生はない…
まずは彼を嫌いになるように、働きかける必要がある…
しかし、人を嫌いになる為にはどうしたら良いのだろう…
バイミーさんの話を聞く限りだと、嫌いになるきっかけを作ったとしても、相手の事が好きなら結局は付き合う未来になってしまう…
致命的に嫌いになる方法はないだろうか…
しばらく考えた私はある作戦を思いつく
「バイミーさん、私が昔書いた"ダイヤのように"と言うネット小説があるんだけど…それを時也ときやに読ませて、感想を貰うように誘導できる?……」
私の提案に、バイミーさんは首を傾げながら言った
「小説の感想ですか?…一花いちかさんに干渉して、時也ときやさんに小説を勧めるように誘導する事は可能です…ただ、時也ときやさんが小説を読んでくれる保証はありませんし、感想を言ってくれるのかについても分かりません…」
「読むか読まないかは時也ときや次第か…それでも試してみる価値はあると思うの…」
「小説を読ませる事にどのような意味があるのですか?」
「意味があるかどうかは、やってみないと分からないわ…ただ、私が彼を嫌いになるには、これしか方法がないかもしれない…」
「いまいち分かりませんが…とりあえずやってみます!干渉ポイントはどの辺りにしましょうか?」
「付き合う直前…11月11日にしようかな、1が並んでて分かりやすいし」
「変わった決め方をしますね…良いでしょう、11月11日に干渉を行い、あなたの書いた小説"ダイヤのように"を時也ときやさんに勧めるように、働きかけます…」
バイミーさんはそう言うと、再び呪文を唱え始めた

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