可能性のバイミー

360回転

彼をブロックしたのはいつ頃ですか?

バイミーさんの話を要約すると、彼女には不思議な力があり、私の寿命を使う事で過去を変える事が出来るらしい…
見た目もそうだが、彼女は何処か胡散臭い…
これは詐欺ではないのか?…バイミーさんの言う事が本当であれば、それは凄い事で…力を上手く使えば人生を自由自在に操る事も可能かもしれないと、私はそう思った…
でも、こんなに美味しい話が実在するのか?…アニメやゲームだと過去に干渉して、物語をハッピーエンドにしているのをよく見かけるけれど…
そんな事を思いつつ、バイミーさんに質問をする
「あんまり信じられる話じゃないけど…私の思った通りに過去改変が出来るって事であってる?…」
私の質問にバイミーさんは、首を横に振りながら答えた
「いいえ、思い通りにはなりません…しかし、あなたの人生を少しでも理想に近づける事は可能です…あなたの使い方次第ではありますが…」
「具体的には、私は何をやったら良いの?…」
「あなたが変えたいターニングポイントを指定してくれたら、私がそのポイントに働きかけます…」
「ターニングポイントって…私…横文字苦手なのよ…」
「まぁ例がないと分かりにくいかもしれませんね、例えば、Aさんと言う人物が居て"Aさんが何月何日にあなたに痴漢を行う"と言う確定した過去があった場合、その被害にあった事実を消す為に、あなたが痴漢に会わないように誘導する事は可能です…」
「なるほど…改変を行う場所を私が指定したら、あなたがその場所に働きかけて人生を変えてくれると…そう言う事ね?」
私の言葉に、バイミーさんは頷きながら言った
「はい、その通りです…ただし改変は一つのポイントに強く干渉を行う事が出来るだけなので、持続する物事にはあまり有効ではありません…」
「持続する物事?」
「はい、あなたが指定した日に白米を食べないように働きかける事は可能ですが、次の日に白米を食べないと言う保証はないと言う事です…なので基本的には、人生に一度だけ訪れた判断ミスや、何かへと繋げる為のきっかけ作りに使うのが有効です…あなたは現在33歳で、残りの寿命は34年ですから…上手く使えば人生を好転させる事が出来るでしょう…」
バイミーさんの詳しい説明を聞き、私は少しだけ頭を働かせる
残りの寿命は34年…短いような長いような微妙な数字だ…
67歳までは生きられる事が確定しているらしいが、私は老いた後の人生にあまり興味がなかった
「それじゃあ試しに一年分だけ使ってみようかな…」
私の言葉を聞いたバイミーさんは、詐欺師のような微笑みを浮かべると言った
「はい、どのターニングポイントに干渉を行いますか?…」
バイミーさんに問われ、私は自身について考える…
私は現在33歳で派遣社員として働いており、そのお金で一人暮らしをしている
家賃は5万円、食と美容と服にお金を使っている事もあり、生活はカツカツだ
時也ときやと言う名前の彼氏も居るが、先程ベッドに置き去りにされた事で、私は彼との関係を改めようと考えている…
付き合いたての頃は良かった…私の事を一番に考えてくれてるみたいだったし、私がワガママを言ってもすぐに駆けつけてくれた…
だけど、最近はメッセージを送っても返信が3日後だったり、塩対応をされてばかり…
しかも、彼には常に別の女の影がチラついている…
彼は上手く隠しているつもりかもしれないが、私には分かるのだ、別の女の匂いが…それが私には許せない…
私は彼の匂いが好きだ…彼の匂いを求めている…
懐かしいような、青春に戻ったような不思議な気持ちになる、彼の匂いを…
その匂いに別の女の匂いが混じるのは、どうしても許せない…
彼と付き合ったのは失敗だったかもしれないと、私はそんな事を感じていた…
今の彼氏と付き合わない未来…そんな未来を引き寄せられるのなら、それは良い事かもしれない…
私は、バイミーさんに向かって言った
「それじゃあ…祐二ひろつぐくんのSNSアカウントをブロックしないように誘導して…できる?」
祐二ひろつぐくんは私が時也ときやと付き合う前に、良い感じだった男性だ
祐二ひろつぐくんは私との交際を望んでいたが、その時の私は時也ときやの匂いに夢中で、祐二ひろつぐくんの気持ちを受け入れる事が出来なかった…
改めて考えてみると祐二ひろつぐくんはかなり良い男で、あの時祐二ひろつぐくんの気持ちに答えていたら、また違った未来になっていたかもしれない…
私の問いかけに、バイミーさんは言った
「ブロックですか…あなたが彼をブロックしたのはいつ頃ですか?」
「えっとー…私にも詳しい日付は分からないけど…」
「それでは映像を巻き戻してチェックしてください…私はあなたの人生を見させてもらえませんでしたから、あなたがいつ、なにをしたのかさえ分かりません…」
バイミーさんは嫌味っぽくそう言うと、私にリモコンを手渡してくる
私はリモコンを受け取ると、バイミーさんに言った
「バイミーさん、後ろを向いててください」
「何故ですか?…どの道あなたの人生を私は…」
バイミーさんの言葉を遮り、私は言った
「あなたにはまだ早いんです!分かったら後ろを向いてて!」
言いながら、彼女の体をモニターの見えない向きへと変える
彼女には悪いけど、私の人生は誰かに見せられる程、綺麗なモノではない…
私はリモコンで映像を巻き戻しながら、彼をブロックした日がいつなのかを探った…

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