魔法少女学院の不良教師

あおき りゅうま

序章 あの時……俺達は英雄だった。いや、俺は英雄だった。

 ———俺たち四人は魔神を倒して世界を救った。

 世界は光に満ち、人々の心に平穏が戻った。 
 誰にもできないことを俺達はやってのけた。
 狂乱の時代は終わった。
 戦にまみれ、人が傷つき、嘆き、死んだあの時代はもう過去のもの。ほとんどの人が辛い記憶として胸に刻み、もう思い出したくもないだろうが———俺たち四人にとっては青春だった。

 ———これでお別れだね。

 いつも優し気な笑みを浮かべる彼女が言った。

 ———そんなことはないさ、同じ空の下で生きてるんだ、いつでも会えるさ。

 別の皮肉屋の少女が言った。いつも感傷的になる仲間をからかう少しムカつく青い髪の彼女。だけど、今日だけは目に涙を浮かべていた。

 ———ルキ。わたしはルキとずっといっしょにいたい。ずっと……そばにいて。

 誰よりも体が小さいが、誰よりも心が強い幼い子である彼女は俺を求め、手を引いた。
 だが———、

 ———いや、俺は旅に出る。自分探しの旅に出て、一人で、この世界を見てみたいんだ。

 俺はあまりにも世間知らずだった。
 戦いの中でしか生きてこなかった俺は、彼女たちと出会って世界が広がった。いままで弱くて切り捨てていた者たちがどんなに価値があって愛おしいものなのかを知った。
 ただの風景がどれだけ心を癒してくれるのか———彼女たちの旅で知ったのだ。
 だから、もっと知らないものを知りたい。
 そう思った。

 ———そう……ルキが決めたことなら応援するわ。

 優し気な彼女は相変らずたおやかな金髪を揺らして、俺に近づいてくる。

 ———いつか、また会いましょう。その時に私たちがどうなっているのか楽しみね。

 彼女が仲間たちを見渡す。
 心で繋がっている俺たちは彼女の言葉に無言で同意し、熱のこもった視線を彼女に注ぐ。彼女の示唆するように平和になった未来で、どうなっているのか。その期待に胸を膨らませている。みんなそんな気持ちを抱いていた。

 いつか、また皆で……その時に笑いあえているのなら、凄く素敵なことだ。

 俺たちの戦いは終わった。
 これからは輝かしい未来が待っている。
 想像もつかない光に満ちた日々が———。

 ———でもね。ルキ。

 ……?
 金髪の彼女が俺の手を握り、上目遣いで俺の顔を覗き込む。
 なんだ?
 なんで……そんなに心配そうな目をしているんだ?

 ———ルキ。自分探しもいいけど。早く落ち着かないと、一生困ることになるわよ?

 え?
 いや、冗談やめろよ。
 そんな……出鼻をくじくようなこと言うなよ。
 俺はハハッ、と笑った。
 似合わない冗談を言っているのだと思った。
 だけど、俺を見つめる彼女の———ジヴの目は本気だった。

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