第3次パワフル転生野球大戦ACE
083 有名になり過ぎたらしい
瞬く間に季節は巡り、中学2年生の6月初め。
今年の全国中学校硬式野球選手権大会もまた当たり前のように1回戦コールド負けに終わり、当面は3同好会それぞれで好き勝手に活動するのみだ。
さて、今日は何をメインに据えて活動しようか。
昼休みにあーちゃんの手作り弁当を食べながら、そう考えていると――。
「大変大変大変だよー!」
教室の扉がバーンと開き、泉南さんが慌てたように駆け込んできた。
中学2年生になり、彼女を含む4人組は別のクラスになってしまった。
磐城君と大松君も同様。
基本的に放課後の部活動でしか顔を合わせていない。
「一体どうしたのよ、琴羅」
逆に今年も同じクラスとなって一緒に昼食を食べていた美海ちゃんと昇二が、泉南さんの勢いに目を丸くしている。
俺の隣という定位置にいるあーちゃんは無表情のままだ。
「プロ野球珍プレー愛好会のチャンネルが炎上してるのー!」
「ええっ!? 何か変な動画投稿したんじゃないでしょうね」
「や、やめてよ、みなみー。そんなことしないよー」
心外だとばかりに頬を膨らませる泉南さん。
2人の会話にも表れてる通り、経過した時間の分だけ4人組とも仲よくなった。
呼称に変化があったのは女子の間だけだけど。
それと大松君の恋愛模様も何ら進展がない。
っと、今はそれどころじゃないな。
「だったら、何で炎上なんかしたのよ」
「それが……私達の動画配信チャンネルが有名になったせいか、ウチの学校の野球部の実情についてリークがあったようなんです」
美海ちゃんの質問に、少し遅れてやって来た仁科さんが困ったように答える。
確かに、チャンネルの登録者数は順調過ぎるぐらいに伸びてはいたけれども。
うーむ。出る杭は打たれるって奴かな。
いわゆる有名税みたいなものかもしれない。
「それで、野球そっちのけで別の活動をしている野球部が補助金を貰っているのはおかしい、ということで批判が集まってしまったらしく……」
いや、まあ。
こればっかりは、そらそうよって感じだよなあ。
正直、批判している不特定多数の誰かの意見は正論としか言いようがない。
反論の余地もない。
実際、俺もおかしいとは思っていたからな。
「とりあえずチャンネルはコメ欄を全部閉じて、ササヤイターにも鍵をかけたからいいのですが……」
「学校にー、たくさん電話がー、かかってきてるみたいー」
「まあ、学校の電話番号なんて誰が調べてもすぐ分かるものね」
それはまた。先生達、大変そうだな。
しかし、これに関しては学校の自業自得な面もあると思う。
言っちゃなんだけどさ。
もう少し体裁を整えた誤魔化し方ぐらい、いくらでもできただろうしな。
とは言え、申し訳程度の指導をして上辺だけ取り繕っているような野球部だったら、俺は美海ちゃんや昇二にここへの入学を強く推していなかったはずだ。
その場合、2人は同じ学校に来てくれなかった可能性もある。
何にせよ、こういう校風を都合よく利用しようとしている俺には、学校の大人達を外野と一緒になじる資格はないだろう。
「どうしよー」
「うーん。どうするって言っても、実際にどういう処分になるか官公庁から通達が来ない限り、学校側だって対応を決められないだろうしなあ」
野球に狂った世界でも一応は法治国家の日本だ。
道義的にはどうであれ、法に則っていることなのであれば手続き的にはまず法を変えてから処分を適用する必要がある。
まあ、その場合も基本遡及はしないし、罰せられるということはないはずだ。
来期から要件を厳しくして補助金を受給できないようにするぐらいだろう。
「とりあえず、その辺が決まるまでは普通に過ごそう。俺達が気を揉んでたところで解決する訳でもないし」
「でもー」
「大丈夫大丈夫。何とかなるなる」
どことなく不安そうな泉南さんに、努めて明るく告げる。
別に迷惑系動画配信者みたいな真似をした訳でもないしな。
少なくとも彼女達が責められる謂れはない。
それだけに、この状況下ではやれることはないだろう。
むしろ下手な真似をすると逆効果になりかねない。
何とか鎮火しようとして、火に油を注いだケースは枚挙にいとまがないからな。
静かに情勢を見極めるのが吉だ。
まあ、そう考えると、チャンネルのコメ欄封鎖とササヤイター鍵アカはちょっと危うい一手かもしれないが……。
その辺のマイナス部分は学校側が被ってくれるだろう。
「野村君がそう言うなら、分かったー」
自信満々な俺の姿に少し落ち着いた様子を見せる泉南さん。
彼女は一先ず引き下がり、仁科さん共々自分の教室に戻っていった。
そして、その2日後。
これまた昼休みのこと。
「虻川先生がー、放課後全員ミーティングルームに集まれー、だってー」
泉南さん達とはまた別のクラスからやってきた諏訪北さんがそう言った。
虻川先生が担当する授業を受け、伝言役に任命されたのだろう。
後ろには彼女と同じクラスになった佳藤さんもいる。
「全員?」
「うん。3同好会全員だって。そこで今後について話をするとか何とか」
「ふーん」
よくよく考えると、野球部勢揃いは初めてか。
さて、一体どういう話になったのやら。
今年の全国中学校硬式野球選手権大会もまた当たり前のように1回戦コールド負けに終わり、当面は3同好会それぞれで好き勝手に活動するのみだ。
さて、今日は何をメインに据えて活動しようか。
昼休みにあーちゃんの手作り弁当を食べながら、そう考えていると――。
「大変大変大変だよー!」
教室の扉がバーンと開き、泉南さんが慌てたように駆け込んできた。
中学2年生になり、彼女を含む4人組は別のクラスになってしまった。
磐城君と大松君も同様。
基本的に放課後の部活動でしか顔を合わせていない。
「一体どうしたのよ、琴羅」
逆に今年も同じクラスとなって一緒に昼食を食べていた美海ちゃんと昇二が、泉南さんの勢いに目を丸くしている。
俺の隣という定位置にいるあーちゃんは無表情のままだ。
「プロ野球珍プレー愛好会のチャンネルが炎上してるのー!」
「ええっ!? 何か変な動画投稿したんじゃないでしょうね」
「や、やめてよ、みなみー。そんなことしないよー」
心外だとばかりに頬を膨らませる泉南さん。
2人の会話にも表れてる通り、経過した時間の分だけ4人組とも仲よくなった。
呼称に変化があったのは女子の間だけだけど。
それと大松君の恋愛模様も何ら進展がない。
っと、今はそれどころじゃないな。
「だったら、何で炎上なんかしたのよ」
「それが……私達の動画配信チャンネルが有名になったせいか、ウチの学校の野球部の実情についてリークがあったようなんです」
美海ちゃんの質問に、少し遅れてやって来た仁科さんが困ったように答える。
確かに、チャンネルの登録者数は順調過ぎるぐらいに伸びてはいたけれども。
うーむ。出る杭は打たれるって奴かな。
いわゆる有名税みたいなものかもしれない。
「それで、野球そっちのけで別の活動をしている野球部が補助金を貰っているのはおかしい、ということで批判が集まってしまったらしく……」
いや、まあ。
こればっかりは、そらそうよって感じだよなあ。
正直、批判している不特定多数の誰かの意見は正論としか言いようがない。
反論の余地もない。
実際、俺もおかしいとは思っていたからな。
「とりあえずチャンネルはコメ欄を全部閉じて、ササヤイターにも鍵をかけたからいいのですが……」
「学校にー、たくさん電話がー、かかってきてるみたいー」
「まあ、学校の電話番号なんて誰が調べてもすぐ分かるものね」
それはまた。先生達、大変そうだな。
しかし、これに関しては学校の自業自得な面もあると思う。
言っちゃなんだけどさ。
もう少し体裁を整えた誤魔化し方ぐらい、いくらでもできただろうしな。
とは言え、申し訳程度の指導をして上辺だけ取り繕っているような野球部だったら、俺は美海ちゃんや昇二にここへの入学を強く推していなかったはずだ。
その場合、2人は同じ学校に来てくれなかった可能性もある。
何にせよ、こういう校風を都合よく利用しようとしている俺には、学校の大人達を外野と一緒になじる資格はないだろう。
「どうしよー」
「うーん。どうするって言っても、実際にどういう処分になるか官公庁から通達が来ない限り、学校側だって対応を決められないだろうしなあ」
野球に狂った世界でも一応は法治国家の日本だ。
道義的にはどうであれ、法に則っていることなのであれば手続き的にはまず法を変えてから処分を適用する必要がある。
まあ、その場合も基本遡及はしないし、罰せられるということはないはずだ。
来期から要件を厳しくして補助金を受給できないようにするぐらいだろう。
「とりあえず、その辺が決まるまでは普通に過ごそう。俺達が気を揉んでたところで解決する訳でもないし」
「でもー」
「大丈夫大丈夫。何とかなるなる」
どことなく不安そうな泉南さんに、努めて明るく告げる。
別に迷惑系動画配信者みたいな真似をした訳でもないしな。
少なくとも彼女達が責められる謂れはない。
それだけに、この状況下ではやれることはないだろう。
むしろ下手な真似をすると逆効果になりかねない。
何とか鎮火しようとして、火に油を注いだケースは枚挙にいとまがないからな。
静かに情勢を見極めるのが吉だ。
まあ、そう考えると、チャンネルのコメ欄封鎖とササヤイター鍵アカはちょっと危うい一手かもしれないが……。
その辺のマイナス部分は学校側が被ってくれるだろう。
「野村君がそう言うなら、分かったー」
自信満々な俺の姿に少し落ち着いた様子を見せる泉南さん。
彼女は一先ず引き下がり、仁科さん共々自分の教室に戻っていった。
そして、その2日後。
これまた昼休みのこと。
「虻川先生がー、放課後全員ミーティングルームに集まれー、だってー」
泉南さん達とはまた別のクラスからやってきた諏訪北さんがそう言った。
虻川先生が担当する授業を受け、伝言役に任命されたのだろう。
後ろには彼女と同じクラスになった佳藤さんもいる。
「全員?」
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