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ネクスト・ステージ~チートなニートが迷宮探索。スキル【ドロップ★5】は、武器防具が装備不可!?

武蔵野純平

第23話 金の宝箱

「そういえば、ドロップ品は?」

 俺は気を失っていたので、まだ、ドロップ品を見ていない。
 沢本さんが、ドロップ品を抱えていた。

「これだ! スコップだ!」

「えっ!?」

 沢本さんが抱えているのは、何の変哲もないスコップだった。
 コボルドのマークが入っている以外は、ホームセンターで売っているスコップと変わりない。

「このスコップだけど、片山さんが買い取りたいってよ」

「片山さんが?」

 片山さんを見ると、笑顔で大きくうなずいた。

「このスコップは、レアドロップのダンジョンスコップです! アメリカでは、千ドルで取り引きされています」

 千ドルはいくらだろうと考えていると御手洗さんが答えを教えてくれた。

「一ドル百二十円として、千ドルだと十二万円です」

 レアドロップ品が十二万円か。
 高いのか安いのか、よくわからない値付けだ。

 片山さんの話によると、このダンジョンスコップは、鉱山ダンジョンの中を掘ることが出来る特殊アイテムだ。

 普通は、鉱山ダンジョンの壁や床を掘ることは出来ない。
 だが、このダンジョンスコップがあれば、通常の土と同じように鉱山ダンジョンの壁や床を掘ることが可能になる。
 そして、ごくまれに、鉱山ダンジョンの土や床から金や宝石が出てくることがあるそうだ。

 ただし、ダンジョンスコップは、一定数使うと消滅してしまう消費型アイテムで、十回から二十回程度しか使えないらしい。
 鉱山ダンジョンを掘ることが可能な特殊アイテムなのに、千ドルと微妙な価格なのは、消費型アイテムだからだろう。

「ダンジョン省としては、研究目的でこちらの鉱山ダンジョンの土を採取したいのです。それで、ダンジョンスコップを十五万円で買い取らせて下さい。もちろん、ダンジョンを掘る許可や採掘で価値のある物が出た際の分配は別途契約します」

「なるほど」

 悪くない話に思える。
 片山さんのオファーは、アメリカの相場十二万円よりも高い。
 色をつけてくれたな。

 俺は、沢本さんと御手洗さんに意見を求めた。

「十五万円なら一人五万円ずつになる。悪くないと思うけど、二人はどう?」

「いいんじゃね? 一階層のボスドロップで、買取額が十五万円なら良い方だぜ!」

「私も良いと思います」

 沢本さん、御手洗さんも売却オーケーだったので、ダンジョンスコップは、片山さんを通じてダンジョン省に売却することに決めた。

 話はついたので、一旦地上へ戻ろうと思うと、沢本さんがボス部屋の奥を指さした。

「カケル! あと、あれがあるぜ! じゃーん!」

「あっ! 金箱!」

 沢本さんが、指さした先には宝箱があった。
 それも金色に輝く宝箱――金箱だ!

 沢本さんが俺に肩を組んで来た。
 ニパッと笑う。

「フロアボスを倒すと宝箱が出ることがあるんだよ! やったな!」

「ラッキーだったね!」

 俺は運が良かったと答えたが、俺のスキル【ドロップ★5】の効果だと思う。
 片山さんが金箱を見ながら、ため息をつく。

「金箱が出ましたか……。このダンジョン最初のボスでしたからね。金箱は、かなり良い物が出ますよ!」

 片山さんの話しぶりだと、ダンジョンで初めてボスを討伐したことも、金箱出現に影響したのかもしれない。
 初回ボス討伐ボーナス+スキル【ドロップ★5】効果か!

「天地さん。開けて見て下さい!」

「そうだよ! カケル! 開けろよ! 金箱! 金箱!」

 俺は金箱に近づき、そっと触れてみた。
 金箱の手触りはツルッとして冷たかった。
 上面には、飾りで宝石がはめ込まれていて、とても美しい。

 俺は金箱の蓋に手をかけた。

「では、開けます! ジャジャン!」

 金箱の内側は朱色のラシャ貼りで、中には大型のナイフが一つ入っていた。

(★はいくつだろう?)

 俺は心臓が高鳴るのを感じた。

 金箱なら★4以上のナイフかもしれない。
 ★4以上なら、装備出来る。
 俺は★3以下の装備品は装備出来ないし、持ち上げることすら出来ないのだ。

 目の前のナイフが★4以上でありますようにと俺は祈りながら、ナイフに手を伸ばした。
 ナイフをつかんで持ち上げる。
 手のひらにナイフの重さが伝わり……ナイフが持ち上がった!

「やった! 持てた! ★4以上確定だ!」

 俺は大声を出して喜んだ!
 一緒にいる沢本さん、御手洗さん、片山さんも大興奮だ。

「おおっ! スゲエ! ★4以上の装備品なんて初めて見たぜ!」

「やりましたね! これで天地さんも武器が持てますよ!」

「地上に戻って、アイテムを鑑定してもらいましょう!」

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