ネクスト・ステージ~チートなニートが迷宮探索。スキル【ドロップ★5】は、武器防具が装備不可!?

武蔵野純平

第18話 レベル2のステータス

 鉱山ダンジョンの坑道を歩く。
 前方に魔物の存在はないので、しばらくは安全そうだ。

 俺はレベルアップの確認を行うことにした。

「ステータスオープン!」

 俺の前に半透明のボードが現れた。


 ■―― ステータス ――■

【名前】 天地駆
【ジョブ】盗賊
【LV】 2 new!

【HP】 F
【MP】 F
【パワー】F
【持久力】F
【素早さ】F
【器用さ】F
【知力】 F
【運】  F

 ■―― スキル ――■
【ドロップ★5】※★3以下の装備品は装備出来ない。


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「あれ!? ステータスに変化がないぞ!?」

 俺のステータス表示は、【LV】が2になっているので、レベルアップしたことは間違いない。
 だが、【HP】や【パワー】などパラメーターの表示はFのまま変化がない。

 どういうことだろうか?

 前を歩く沢本さんが、答えてくれた。

「ああ! ステータスのFがEになるとか、EがDになるとかだろ?」

「そう! それ!」

 つい目が沢本さんの胸にいってしまうが、今はカップの話ではない。

 さっきは、気の緩みから御手洗さんにビンタされてしまった。
 肉体的なダメージよりも、精神的なダメージが大きい。

 浮かれていてはダメだ!
 俺は気を引き締める。

「レベルが10くらい上がると表示が変わるみたいだぜ。表示が変わらなくても、少し力は上がってるから大丈夫だよ」

「そうなんだ!」

 沢本さんの話だと、ステータス表示がFのままでも、レベルアップすれば能力が上がっているということだ。

「ステータスオープン」

 俺の後ろを歩く御手洗さんも、ステータスの確認を始めた。
 俺はおっかなびっくり話しかけてみた。
 さっきの胸をもんでしまったことを、怒っていなければ良いのだが。

「御手洗さんは、どう?」

「私も同じですね。ステータスの数値に変化がありません。沢本さんのお話だと0.1とか、細かく上昇しているのでしょうね」

「0.1?」

 御手洗さんに詳しい話を聞く。
 御手洗さんの考えでは、レベルアップするとステータスが0.1ずつ上昇するのではないかという。
 レベル10になると、0.1×10で1になる。
 それで、ステータスがFからEに変化する。

「ああ、なるほど! 表示は変わらなくても、能力は少し上昇している。あくまで表示が大雑把なだけだと」

「そうですね。実際に0.1ずつかどうかは、わかりませんけど」

「いや、御手洗さんの仮説が正しいと思う!」

 胸をもんだ後ろめたさから、思わず強く賛成してしまった。

「さっすがシズカ! 頭良いな!」

 沢本さんが、御手洗さんを褒める。
 二人はタイプが全く違うが、上手く付き合っているようだ。

 俺は好奇心から御手洗さんに意見を求めた。

「この鉱山ダンジョンは、レベルアップが遅いよね? 御手洗さんは、なぜだと思う?」

 御手洗さんは、少し考えてから淡々と答えた。

「私たちは、コボルド二十匹でレベルアップしました。他のダンジョンと比較すると、得られる経験値は四分の一です」

「四分の一か……。かなり経験値が渋いね」

 レベルアップするのに、他のダンジョンより四倍時間がかかるのは、大きなマイナス点だ。
 俺は先を促す。

「それで?」

「あくまで推測ですが、いくつか考えられますよね。例えば、鉱山ダンジョンはドロップ品が良い分、経験値が少ないとか」

 バランスをとっているということか?
 だとしたら、誰が?

「なるほど。他には?」

「このダンジョンには立ち入って欲しくないから、経験値が少ないとか」

「あっ! そういう考え方もあるのか!」

「いえ、このダンジョンに人を立ち入らせたくないなら、もっと強い魔物を配置するはずです。おかしな考えでしたね」

 俺が感心すると、御手洗さんは自分の仮説の穴をすぐに説明した。
 やはり頭が良いんだ。

「おーい! お客さんだぜ!」

 沢本さんの呼びかけで、意識をダンジョンへ戻す。
 前方にコボルドが見えた。

 わからないことがあるが、まだこのダンジョンを探索して二日目だ。
 まずは、一階層の探索を終えよう。

 俺は目標設定を新たにした。

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