わたしの祈りは毒をも溶かす!

鼻血の親分

34話 わたしの祈りは毒をも溶かす!①

「オリビア様、また声が聞こえなくなったの?」
「あー、あー」
「うーん、その様だねぇ。……えっと、此処はね、キース先生の隠れ家だって。街中にあるんだよ。と言っても伝わらないか」

 また音が声が聞こえなくなってショックだ。でも体調は良くなってる。禁断症状が抜けたみたい。一回しか吸ってないから症状が軽かったんだと思う。

 で、ここはどこ? 先生は? と聞きたいところだけど紙もペンも見当たらない。取り敢えず安全そうだから大人しく過ごすことにしよう。

 さて、わたしは失踪した。今頃、子爵家にも知れ渡って捜索が始まってるかもしれない。モッペルも巻き込んでしまったけど、これからどう生きていけば良いのか答えが見つからない。

「さぁ、もう寝ましょうね。此処にいれば楽団員が守ってくれると思うから、後のことはゆっくり考えましょう。……でもね、アタシもそろそろ禁断症状が出そうだよ。だから明日から当分お役に立てないかもね。ゴメンね、オリビア様」

 ベッドが二つ並んでいる。わたしはモッペルと隣り合わせでお休みすることにした。

 キース先生はどこ行ったのか分からないし、悩んでも仕方ないな。……よおし、寝るか。嬉しかったこと楽しかったこと。今日は何があったかなぁ……

 考えても嫌な出来事ばかりが浮かんでくる。寝つけないまま時間ばかりが過ぎていく。でもいつしかウトウトしていた。

「オリビア……オリビア?」
「うーん……え、えっと……アプレンなの?」

 小さな妖精が浮かんで見える。紛れもない彼だ。

「ここに居れば安心だな」
「ア、アプレン! わたしね、あのね、阿片吸っちゃって……ごめんなさい。お鼻詰まれて息が出来なかったの」 
「吸いたくて吸ったんじゃないだろ。それに禁断症状も治った様だ。だが、その反動で聞こえなくなったけどな」
「もう元に戻らないのかな?」
「言っただろ、お前は潜在能力があるって。日々進化してるんだ。禁断症状が短期で治ったのもそのチカラが働いてるし、また聞こえる様にもなるさ」
「じゃあ、わたしはこれからどうしたらいい?」
「先ずはお前を助けた侍女の看病をしろ。手をかざし意識を集中させて祈るんだ。彼女はこれから禁断症状が激しくなるだろう。重篤な中毒だからな。その苦しみを救ってやれ。これはお前しか出来ない」
「ちょっと待って。祈るって何を?」
「カラダの毒素を浄化させる様、ひたすら祈れば良い。そうすれば何かが見えてくるだろう」

 何を言ってるのか訳わかんないよお? でも苦しんでるモッペルを助けてやりたい。祈ることくらいしか出来ないけどやってみるよ、アプレン。

 そうココロに誓いながらも、わたしはいつの間にか眠っていた。


 







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