わたしの祈りは毒をも溶かす!
32話 また聞こえてます。特殊能力だなんて…⑬
「リュメル様……」
あー、わたしは一体どうなるんだろ?
「子爵家の秘密は私も知ってるよ。三宝の山で阿片を製造して売ってるんだ。だって大量の在庫は我がフレディ家が持ってるんだから」
「……え?」
「作るのは子爵家、売るのは伯爵家なのさ。私らは運命共同体だ。それで長らくこの領地を支配している。勿論、特権階級の私らは阿片を自由に扱える」
「リ、リュメル様も阿片を……?」
「君は禁断症状の様だね。準備してるから一緒に吸おう」
「や、やめてください。わたしは……ううっ!」
リュメル様から強引に唇を奪われた。
「オリビアは私のものだ。ああ、君が欲しかった。もう離さないよ」
「やめて!」
キツく抱きしめられた。苦しいくらいに。
もうジタバタする気力もない。気がつくとヘンな匂いが鼻についた。煙が立ってるのが見える。伯爵邸の侍女がキセルをテーブルに置いたのだ。
「さぁ、吸ってごらん。楽しくなるから」
「い……いや、やめてください。リュメル様……」
彼はわたしの目の前で吸って見せた。光悦した表情が阿片中毒だと物語っている。
「オリビア、本当は欲しいんだろ。これを吸ってハイになろう」
「いやです! 吸いたくありません!」
すると彼から強引にキセルを咥えさせられた。わたしは涙を浮かべながら抵抗する。
「鼻で呼吸しちゃあ駄目だよ。いい子だからちゃんと吸って」
ぶるんぶるんと首を振る。
「オリビア、いい加減にしなさい。君は私のペットだろ。御主人様の言いつけ守らないといけないよ?」
ーーペットって!?
ショックだ、ショックだよ。リュメル様がこんな人だなんて信じられないよう。彼なら助けてくれると思ってたわたしが馬鹿だった。
馬鹿だったよお! うぇぇぇんーー!
「仕方ないな」
彼の手により鼻を塞がれた。
いや、いや、ううぅぅぅぅ……。
と、その時だ。
ギィィっと扉が開く音が聞こえた。
「お坊ちゃん、演奏の準備が整いましたが?」
キース先生だぁーー!
「あぁ、もう少し後にする。待機してくれたまえ」
「ん? その手を離したらどうですか? 子供が阿片とは関心しませんな」
「何だと?」
一瞬、彼の手が離れた。わたしは『ぜいぜい』と肩を上下に動かし息をする。間一髪で助かったのだ。いえ、でもこの状況は助かったと言えるのだろうか?
リュメル様は目で侍女に合図した。
「ふふふ、お前は何様だ? 単なるダンス教室の先生だろう。楽団を率いて特権階級のホールを回って生活するただの民。身分を弁えてもらいたいな」
「阿片は違法薬物だ。子供でも分かることだが?」
ドタバタと多くの足音が聞こえてくる。伯爵邸の警備隊がサロンへ押し寄せて来たのだ。
「はははは……先生は世間知らずだな。伯爵令息の私を怒らせるとどうなるか分からせてやるよ」
あっという間に楽団員は警備隊に取り囲まれた。伯爵邸は広い。もはや城だ。幾らでも警備の者が沸いて来る。中には武装してる兵隊もいた。
「キース先生……」
わたしはふらふらしながら先生に助けを求めた。でもこの状況を乗り切れるとは思えない。
あー、わたしは一体どうなるんだろ?
「子爵家の秘密は私も知ってるよ。三宝の山で阿片を製造して売ってるんだ。だって大量の在庫は我がフレディ家が持ってるんだから」
「……え?」
「作るのは子爵家、売るのは伯爵家なのさ。私らは運命共同体だ。それで長らくこの領地を支配している。勿論、特権階級の私らは阿片を自由に扱える」
「リ、リュメル様も阿片を……?」
「君は禁断症状の様だね。準備してるから一緒に吸おう」
「や、やめてください。わたしは……ううっ!」
リュメル様から強引に唇を奪われた。
「オリビアは私のものだ。ああ、君が欲しかった。もう離さないよ」
「やめて!」
キツく抱きしめられた。苦しいくらいに。
もうジタバタする気力もない。気がつくとヘンな匂いが鼻についた。煙が立ってるのが見える。伯爵邸の侍女がキセルをテーブルに置いたのだ。
「さぁ、吸ってごらん。楽しくなるから」
「い……いや、やめてください。リュメル様……」
彼はわたしの目の前で吸って見せた。光悦した表情が阿片中毒だと物語っている。
「オリビア、本当は欲しいんだろ。これを吸ってハイになろう」
「いやです! 吸いたくありません!」
すると彼から強引にキセルを咥えさせられた。わたしは涙を浮かべながら抵抗する。
「鼻で呼吸しちゃあ駄目だよ。いい子だからちゃんと吸って」
ぶるんぶるんと首を振る。
「オリビア、いい加減にしなさい。君は私のペットだろ。御主人様の言いつけ守らないといけないよ?」
ーーペットって!?
ショックだ、ショックだよ。リュメル様がこんな人だなんて信じられないよう。彼なら助けてくれると思ってたわたしが馬鹿だった。
馬鹿だったよお! うぇぇぇんーー!
「仕方ないな」
彼の手により鼻を塞がれた。
いや、いや、ううぅぅぅぅ……。
と、その時だ。
ギィィっと扉が開く音が聞こえた。
「お坊ちゃん、演奏の準備が整いましたが?」
キース先生だぁーー!
「あぁ、もう少し後にする。待機してくれたまえ」
「ん? その手を離したらどうですか? 子供が阿片とは関心しませんな」
「何だと?」
一瞬、彼の手が離れた。わたしは『ぜいぜい』と肩を上下に動かし息をする。間一髪で助かったのだ。いえ、でもこの状況は助かったと言えるのだろうか?
リュメル様は目で侍女に合図した。
「ふふふ、お前は何様だ? 単なるダンス教室の先生だろう。楽団を率いて特権階級のホールを回って生活するただの民。身分を弁えてもらいたいな」
「阿片は違法薬物だ。子供でも分かることだが?」
ドタバタと多くの足音が聞こえてくる。伯爵邸の警備隊がサロンへ押し寄せて来たのだ。
「はははは……先生は世間知らずだな。伯爵令息の私を怒らせるとどうなるか分からせてやるよ」
あっという間に楽団員は警備隊に取り囲まれた。伯爵邸は広い。もはや城だ。幾らでも警備の者が沸いて来る。中には武装してる兵隊もいた。
「キース先生……」
わたしはふらふらしながら先生に助けを求めた。でもこの状況を乗り切れるとは思えない。
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