わたしの祈りは毒をも溶かす!

鼻血の親分

31話 また聞こえてます。特殊能力だなんて…⑫

「ようこそ、オリビア。疲れただろう。あ、聞こえるようになったって? 是非、声を聞かせてくれ」
「は、はい。こんな声です。突然治りました。でもいつ元に戻るか……」
「うーん、とても美しい声だ。感動したよ!」
「ありがとうございます。あのリュメル様、フレディ伯爵様は?」
「父は忙しくて明日戻る予定だが、はっきり分からない。だからオリビアは私が相手するよ」

 伯爵邸でリュメル様から歓迎を受けた。フレディ伯爵は公務で不在の様だ。なのに伯爵邸にお泊まりとは不思議に感じたけど何だか一安心した。

「まぁ、嬉しいです」

 サロンでお紅茶を口にしながら楽しい一時を過ごす。彼は優しく微笑みかけてくださる。とっても幸せだ。
 
 イービルが知ったら激怒するだろうね。

「オリビア、後でダンスしよう。オーケストラを控えさせているから」
「はい。それは楽しみです!」

 オーケストラってキース先生だよね? 来てたんだ。良かったぁ。先生にも情報伝えられる!

 でも、段々と倦怠感がわたしを襲ってきた。恐らく阿片の効力が途切れてきたのでしょう。ゲストルームに戻ってお着替えしてたけど気分が優れない。

「如何されましたか、オリビア様」
「モッペル……何だかだるいわ。気力が出ないというか……」
「禁断症状ですね。でも我慢するしかありませんよ。伯爵邸にも阿片があると思うけど今我慢しないと断ち切れませんから」
「勿論、これ以上吸うつもりはないよ……」

 少し目眩めまいがするけど着替えを済ませリュメル様の待つサロンへ向かった。その奥はダンスホールへ繋がっており、オーケストラが演奏の音合わせを行なっている。

「おや……オリビア、顔色が悪いな。大丈夫か?」
「いえ、大丈夫です。踊れますわ」
「いや、少し休もう」

 ぜいぜいと息を切らしたわたしはソファへ座らされた。

 そうだ。今、リュメル様に相談してみよう。 

「リ、リュメル様、ご相談がございます」
「どうした?」

 この人ならきっとわたしを救ってくれる。そう信じてお話しすることにした。

「実は、我が子爵家の秘密を知ってしまったのです。それがバレて暫く監禁されました。伯爵邸に行くことで一旦釈放されたのです。でも戻ればまた監禁されると思うと……」
「オリビア、だったら此処に居ればいい。私が守ってあげるよ」
「リュメル様……」
「あれから父と話したんだ。いずれ君は父の愛人となり、この屋敷へ住むことになる。だけどね、一旦私が譲り受けたのさ」
「ええっ!? それはどういうことですか?」
「君は余りにも幼い。まだ十六歳だ。もう少し大人になるまで私が面倒みろってことだよ」

 い、意味が分からないよ。わたしは取り敢えずリュメル様の……なに? それで大人になったらフレディ伯爵の愛人になるの?

「仰ってることが理解出来ないです」

 わたしは禁断症状が出て脱力が激しくなる。もはやまともに思考が働かない様だ。

「オリビア、……君は、阿片を吸ったね?」

 リュメル様から優しい眼差しを向けられる。そして、肩に手を置かれ抱き寄せられた……




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