わたしの祈りは毒をも溶かす!

鼻血の親分

20話 また聞こえてます。特殊能力だなんて…①

「アプレン、あのね、薄々は感じてたよ」

 わたしはお布団被りながら妖精と会話する。話題はもっぱら特殊能力のことや、キース先生含めた今後のお話が中心となっていた。嬉しかったこと楽しかったことは最後にとっている。

「何がだ?」
「だって兄上さまが妖精になって夜な夜な現れてさ、魔力とやらで音が聞こえる様になったなんてあり得ないことが起こってたんだもん」
「そのことか。俺もこの能力に気づいたのはお前の耳が聞こえなくなってからだ。だがな、誰かの思考に入り込むなんてお前にしか出来ない。つまり俺の能力はオリビアだけにしか効かない様だ」
「でもキース先生は聖人だって言ってたよ。何か他に凄いチカラを見せたんじゃないの?」
「何にも。ただ、妹が眠りにつく僅かな時間に会話が出来るって言ったんだ。そして耳を治したり危険から彼女を守ることが可能だとね」
「……ふぅぅん」
「お前も強く念じると妖精になれるかもしれないな」
「そっか。わたしから兄上さまの思考に入れたら嬉しいな。あ、でも早く回復してよね。このまま意識不明が続かないよね?」
「うん。ただな……」
「なに?」
「意識が戻ったら、暫く会えないかもな」
「な、何でよ!?」
「お前の耳が聞こえる様になった時、反動で思考に入れなくなったんだ。魔力はまだ生きている。俺の意識が戻ればお前の耳は回復するだろう」
「えー、だってわたしはイービルに文句言ったから、言葉を発したから元に戻ったのでしょう?」
「最初はそうだった。いや、その程度の魔力だと思っていた。だが、お前自身の能力でさらに進化したんだ。オリビア、お前にも特殊能力がある。俺なんかよりとんでもないくらいのな。あとは自分でそれを引き出せ」

 な、何を仰ってるのやら……?

「それとな、阿片を探れ。何処で栽培し何処で加工してるのか。俺は三宝の山が怪しいと睨んでいる。だが、木々でカモフラージュしてると思うし見張りも居るだろう。だから一人では行くな。俺は暫くは動けないから……」
「兄上さま……?」

 い、いかん。眠たくなってきた。大事なとこなのに。頭がぼんやりする。まだ、嬉しかったこと楽しかったことお話してないよう……

 いつの間にか眠りについていた。


 ***


 朝を迎える。いつもの如くモッペルが起こしてきた。

「ザーー、……ございます、オリビア様」

 う、うーん。むにゃむにゃ。

「朝ですよーー。あ、そうそう、今朝ゲーニウス様の意識が戻られました。良かったわーー」

 ん? えっ? 何だって?

「いやあ、目の前であんな出来事があったでしょう。もう気がかりでねぇ。でも本当に助かって良かったわ。まだ安静にしないといけないみたいだけどね。……あ、聞こえないのか、オリビア様。つい嬉しくて」

 聞こえてます。良かったね、兄上さまの意識が戻って。と、同時にわたしの耳も回復したようだ。

 さて、兄上さまのお言い付けに従って阿片のこと探ろうかしら。でもどうやって? 誰と? やっぱりキース先生とかなぁ……




















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