【絶対攻略不可?】~隣の席のクール系美少女を好きになったらなぜか『魔王』を倒すことになった件。でも本当に攻略するのは君の方だったようです。~
69. チート
69. チート
夏休み2日目。時間は今日の終わりを告げるところまで来ていた。冬馬から借りた『ブレイブ☆ファンタジア』ももうラスボスの魔王のところだ。
「はぁ。もう終わるのね。なんか燃え尽き症候群よね……」
……そりゃここまでのアイテムだのモンスターだのを全部集めたり倒したり、しかもレベルがカンストしてるならそうなるよ咲夜さん。
「ねぇ颯太君」
「ん?」
「知ってた?魔王はね最後に『真実の願い』っていうアイテムを落とすの。それがドロップするかしないか、かけてみない?ちなみにドロップ率はね50%なの」
なるほど。それはほとんど運だよな……。
「それで……もし私が負けたら、ここを出ていくわ」
「え!?」
「やっぱり考えたんだけど、高校生が一緒に住んでるのはまずいわよ。本当に毎日が楽しくて……だからこそ怖いの。この生活が壊れるのが。今ならまだ間に合うから……」
咲夜さんはずっと不安だったんだろう。そんな風に思わせてしまっているなんてオレは無力だ。こんなにも好きな人なのに。
「オレが負けたら?」
「そうね……これから先に何があっても私と一緒に魔王を倒す。どうかしら?」
咲夜さんはすごく真剣な眼差しでオレを見ている。その表情に嘘はないように見えた。勝ちたくない……。そんな気持ちしかない。咲夜さんがいなくなるのなんてもう考えられない。
「さて颯太君が決めていいわよ?」
不思議と迷いはなかった。自然と言葉が出る。
「……嫌だ」
「え?」
「咲夜さんはここから出ていかない。オレと一緒に魔王を倒す。だからこの賭けはやらない」
「でもね颯太君……」
「オレが絶対責任をとるから!もう咲夜さんが一緒にいてくれないと困るんだよ!」
そしてオレは咲夜さんに詰め寄り肩を掴んだ。
「そっ颯太君……」
「咲夜さんがいない生活とか想像できないし……いて欲しいんだってば!!誰に何を言われてもいい!クラスメートの男子にだってボコボコにされてもいい!オレは……オレは咲夜さんと一緒にいたいんだ!」
咲夜さんのいない生活を考えてみたら胸が苦しくなってどうしようもなかった。オレはこの人を失いたくない。本当に好きだから。
「……ドロップしない」
「え?」
「ドロップしないを選んで。魔王は絶対に『真実の願い』を落とすから……」
「咲夜さん……ふぅ……ありがとう。オレはドロップしないを選ぶよ」
これが咲夜さんの答えなのだろう。つまり咲夜さんも一緒にいてくれるということだ。これでいいんだ。そして魔王を倒す。『真実の願い』はドロップした。
「じゃあ私の勝ちね」
「あっああ……」
「ねぇ颯太君?私……さっきの言葉信じてるから。裏切ったら許さないわよ?」
「咲夜さん。ああ!任せてくれ!」
そう言って、咲夜さんは嬉しそうに微笑んでいた。オレもつられて笑顔になる。最後は咲夜さんに答えを教えてもらうというチートを使ったけど。
まだ夏休みは始まったばかり、「好き」「付き合ってほしい」とは言えなかったけど、オレは初めて勇気を出して自分の思いを咲夜さんに伝えたのだった。
夏休み2日目。時間は今日の終わりを告げるところまで来ていた。冬馬から借りた『ブレイブ☆ファンタジア』ももうラスボスの魔王のところだ。
「はぁ。もう終わるのね。なんか燃え尽き症候群よね……」
……そりゃここまでのアイテムだのモンスターだのを全部集めたり倒したり、しかもレベルがカンストしてるならそうなるよ咲夜さん。
「ねぇ颯太君」
「ん?」
「知ってた?魔王はね最後に『真実の願い』っていうアイテムを落とすの。それがドロップするかしないか、かけてみない?ちなみにドロップ率はね50%なの」
なるほど。それはほとんど運だよな……。
「それで……もし私が負けたら、ここを出ていくわ」
「え!?」
「やっぱり考えたんだけど、高校生が一緒に住んでるのはまずいわよ。本当に毎日が楽しくて……だからこそ怖いの。この生活が壊れるのが。今ならまだ間に合うから……」
咲夜さんはずっと不安だったんだろう。そんな風に思わせてしまっているなんてオレは無力だ。こんなにも好きな人なのに。
「オレが負けたら?」
「そうね……これから先に何があっても私と一緒に魔王を倒す。どうかしら?」
咲夜さんはすごく真剣な眼差しでオレを見ている。その表情に嘘はないように見えた。勝ちたくない……。そんな気持ちしかない。咲夜さんがいなくなるのなんてもう考えられない。
「さて颯太君が決めていいわよ?」
不思議と迷いはなかった。自然と言葉が出る。
「……嫌だ」
「え?」
「咲夜さんはここから出ていかない。オレと一緒に魔王を倒す。だからこの賭けはやらない」
「でもね颯太君……」
「オレが絶対責任をとるから!もう咲夜さんが一緒にいてくれないと困るんだよ!」
そしてオレは咲夜さんに詰め寄り肩を掴んだ。
「そっ颯太君……」
「咲夜さんがいない生活とか想像できないし……いて欲しいんだってば!!誰に何を言われてもいい!クラスメートの男子にだってボコボコにされてもいい!オレは……オレは咲夜さんと一緒にいたいんだ!」
咲夜さんのいない生活を考えてみたら胸が苦しくなってどうしようもなかった。オレはこの人を失いたくない。本当に好きだから。
「……ドロップしない」
「え?」
「ドロップしないを選んで。魔王は絶対に『真実の願い』を落とすから……」
「咲夜さん……ふぅ……ありがとう。オレはドロップしないを選ぶよ」
これが咲夜さんの答えなのだろう。つまり咲夜さんも一緒にいてくれるということだ。これでいいんだ。そして魔王を倒す。『真実の願い』はドロップした。
「じゃあ私の勝ちね」
「あっああ……」
「ねぇ颯太君?私……さっきの言葉信じてるから。裏切ったら許さないわよ?」
「咲夜さん。ああ!任せてくれ!」
そう言って、咲夜さんは嬉しそうに微笑んでいた。オレもつられて笑顔になる。最後は咲夜さんに答えを教えてもらうというチートを使ったけど。
まだ夏休みは始まったばかり、「好き」「付き合ってほしい」とは言えなかったけど、オレは初めて勇気を出して自分の思いを咲夜さんに伝えたのだった。
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