【究極の押し掛けラブコメ】後輩ちゃんは先輩と付き合ってます!!?

夕姫

169. 交渉人夏帆

169. 交渉人夏帆



「ねぇ先輩?お泊まり旅行の夜、みんなで何しますか?それとも私とイチャイチャします?」

「オレは別の部屋だからな?」

「えぇ!?なんでですか!?」

「お前は100歩譲っていいとしても、黒崎や千春がいるだろうよ!」

「あぁ!そうですね。でも、2人とも寝たら先輩の部屋に行きますね!」

「来なくていいぞ」

 来ても困るだけだ。何もできないもどかしさだけ残るなら最初からいないほうがいい。

「あっ!それなら冬花先輩と千春ちゃんに許可を取りましょう!」

「は?」

「この交渉のプロの私に任せてください!」

 すると夏帆はスマホを取り出し電話をかける。

「あっ冬花先輩?今何してるんですか?」

 《今?手の爪の手入れをしていたのだけど?どうかしたのかしら?》

「ちょっとお願いがあるんですよ〜」

 《あらそうなのね。何かしら?》

「あのですね。お泊まり旅行の時に先輩も同じ部屋でいいですか?」

「ダメに決まってんだろ」

 《え?夏帆ちゃんもいるのよね?それなら構わないわよ。でもいきなりその……したりしないでよ?》

 おい。断れよ。しかもいきなりしないでよってするかよ。黒崎がいるのにそんなことする度胸なんてない。

「はーい。それじゃまた旅行の日に」

 そして電話を切る。

「はい。オッケー出ましたよ!」

「いや、なんでだよ……でも千春は嫌がるぞ?」

「大丈夫です!千春ちゃんなら問題ないと思いますけど、とりあえず行ってきますね」

 そういうと夏帆はオレの部屋を出て、千春の部屋に行く。しばらくすると夏帆が帰ってくる。

「先輩。許可でましたよ?『秋兄がいいなら……』って言ってましたよ?」

「嘘つくな。千春がそんなこと言うはずないだろ?確認する」

「もう!なら一緒に来れば良かったのに!」

 膨れる夏帆を無視して、オレは千春の部屋に行く。ドアをノックし返事を待ってから中に入る。そこにはベットの上で体育座りをしている千春がいた。

「あれ?どうしたの?」

「千春は何を言われたんだ?」

「え?秋兄が旅行の日に同じ部屋に泊まるって」

「あのさ、一応オレも男だぞ?心配じゃないのか?」

「……秋兄なら何か起きてもいいし……」

「え?なんだって聞こえないけど」

「夏帆さんがいるから安心でしょって言ったの!黒崎先輩もいるし!」

「わかった。わかったから落ち着け」

「うん……。秋兄のバカ……」

 バカって……なんだか少し怒ってるかこいつ?意味わからんぞ。こうしてなぜかオレは同じ部屋に泊まることになったのだった。

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