133.　見守ってます

133.　見守ってます

　気まずそうにしている黒崎。こういう時、何の話題もないオレは男としてダメだなと思う。

「あの神原君。ごめんなさい気をつかわせてしまって。私と一緒にいてもつまらないわよね？」

「いや、そんなことない。オレさ女の子と付き合ったことないし、仲良い友達もいないからこういう時、何を話せばいいかわからないんだ。すまん。」

　オレがそう言うと神原は驚いた顔をして言った。

「え？そうなの？でも夏帆ちゃんと付き合ってるじゃない？」

「あぁ。だから夏帆が初めての彼女なんだよ。それにいつもはあいつがしゃべってくるからさ」

「そう……あの神原君って私のことどう思うかしら？異性として」

「はい！？」

「変な意味じゃないのよ！？その私……彼氏いたことないから……ちょっと不安で……私変なのかしら？」

　意外なことで悩んでるんだな黒崎。普通に可愛いと思うけどな……。

「全然おかしくないだろ。多分お前は少し近寄りがたいのかもしれない。学級委員だし。でもこうして話したりすると全然イメージ違うしな」

「どう違うのかしら？教えて！」

「え？いやその……意外に普通の女の子なんだなって思ってさ」

　自分で言って恥ずかしくなってきた。こんな事言われても嬉しくないだろう。しかし黒崎は真剣な表情だった。

「そう思ってくれてるの？嬉しいわ。ありがとう神原君。」

「おう……」

　満面の笑みを浮かべる黒崎。なんか今までの悩みが全て吹っ切れたような感じだった。

「ねぇ神原君。私、男の人と仲良くなるのは初めてのことなの。だから、これからも親友として色々経験させてほしいわ」

「オレなんか参考にならんぞ？」

「そんなことないわ」

「お前がそれでいいなら構わないけどよ」

　なぜかオレと黒崎は固い友情で結ばれた気がした。そしてオレが黒崎にお返しであげた『真なる友情』の意味の茶色のテディベアがオレと黒崎を見守っているような気がしたのだった。