【究極の押し掛けラブコメ】後輩ちゃんは先輩と付き合ってます!!?

夕姫

131. 偶然って怖い

131. 偶然って怖い



 そして今日はホワイトデー。女子からチョコをもらった男子が、お返しをする日だ。オレは夏帆とのデートの時に買ったテディベアを黒崎に渡すつもりだ。

「黒崎。」

「あら、おっおはよう!かっ神原君。どっどうかしたかしら?わっ私に何か用かしら?」

「……。」

 見てわかるくらいこいつソワソワしてるんだが……やめろ。なんか期待されている緊張してくるだろ。というか今ここで渡すとなんか問題になりそうだしな……仕方ない。

「今日、放課後暇か?もし暇ならオレの家に来ないか?」

「えっ!?家に!?」

「おい声でかいって!」

 周りにいる奴らが一斉にこちらを見てくるので焦ってしまう。この反応だとやはりまずかっただろうか?いやでも他に方法がないんだよなぁ……。

「ごめんなさい……。でもどうして急に家に誘われたのかしら?」

「それは……まあ色々あってだな。とりあえずどうだ?」

「ええ。行くわ」

 こうして黒崎はオレの家に来ることになった。まぁいつものように夏帆がいるし何の問題もない。ただ、オレが渡したいものが渡せるかどうかだけが不安だが……多分大丈夫だろう。

 そして放課後。黒崎とともにアパートへ帰ると夏帆はまだ帰ってなかった。

「お邪魔します……」

「おう。適当に座っててくれ。飲み物取ってくるよ。」

「あっありがとう。」

 さて、どうしようか。正直もうすでにバレていると思うのだが。ここは何も考えずにすんなり渡せばいいよな。うんそうしよう。

「黒崎。これホワイトデーのお返しだ。受け取ってくれ。」

「えっ!?私が本当にもらってもいいのかしら?」

「ああ。お前のために選んだものだからな。」

「嬉しい……ありがとう神原君。大切にするわね。」

 喜んでもらえたようでよかった。黒崎はオレがあげたテディベアを抱きしめながら幸せそうな表情をしている。そんな顔を見るとやっぱりこっちまで幸せな気分になってくる。こいつ意外に可愛らしいところあるんだな。

 そしてしばらく沈黙が続く。なんでこういう時に夏帆は帰って来ないんだよ……。

「あの……夏帆ちゃん遅いわね?」

「あっああ……もしかしてメッセージ来てるかな」

 スマホを確認してみると、案の定夏帆からのメッセージが届いていた。内容は『今日少し友達の話を聞いてから帰るので遅くなります。先輩頑張って!でも浮気したら怒りますからね!』というものだった。

「悪い。今日は遅くなるみたいだ」

「そっそうなのね、それじゃ帰ろうかしら」

 その時、偶然にも大雨が降ってくる。しかも雷もすごい。マジかよ……この前の千春の時と同じじゃねぇか……。

「うわぁ……凄いわね。これは帰れなさそうだわ」

「なら、もう少しゆっくりしていけよ。別にオレは構わないから」

「ありがとう……そうさせてもらうわ」

 と言ったものの。黒崎と二人きりとか初めてで緊張するんだが。本当に偶然って怖すぎるよな……。

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