【究極の押し掛けラブコメ】後輩ちゃんは先輩と付き合ってます!!?

夕姫

116. 春から

116. 春から



 時間は早朝。キッチンから物音といい匂いがしてくる。

「あっ。おはよう秋兄。勝手にキッチン使わせてもらっちゃった。朝ごはん食べる?」

「ああ。千春が作ったのか?」

「うん。秋兄の彼女よりは全然下手だけど食べれると思うから」

 そう言う千春。確かに目玉焼きの端が焦げてたり、味噌汁の豆腐の形がいびつだったりするが普通に美味しそうだ。

「ありがとうな。じゃあいただきます」

 オレはそう言って目玉焼きを口に運ぶ。……うまっ! めちゃくちゃ美味いぞこれ。

「どう? 美味しいかな?」

 少し不安そうな表情で聞いてくる千春。

「ああ。すごく美味しいよ。」

「そっかぁ。良かった」

 笑顔になる千春。……可愛い。あまり千春は感情をださないけど、こうやって笑顔になると可愛いよな。

「ねぇ秋兄。着替えてこの近くを案内してほしいんだけど。ダメかな?」

「別にいいぞ。ちょっと待ってろ」

 オレは自分の部屋に戻り服を着替えてそしてリビングに戻る。

「お待たせ。行くか」

「うん」

 まずは学校までの通学路を歩く。まぁ特に変わったことはない。いつもと同じ道だ。

「春からはお前も歩くんだもんな。オレも来年受験だし、就職かもしれないけど、もう三年生だもんな……」

「秋兄。おじさん臭いよ。」

 本当にあと1年で卒業なんだな。一年生の時の記憶はほとんどないけど、夏帆と出会った二年生の今は、楽しい思い出ばかりだ。

「着いたぞ。ここがうちの高校だ。まぁ校門の前だからあんまり変わらないけどな」

「春から私が通う……」

 そう呟く千春の横顔は微笑んでいるように思えた。そしてそのあとはアパートの近辺の施設などを案内してアパートに戻った。明日は千春が帰る日だな。意外に2日って短いかもな。でも千春のおかげでオレの暇がなくなったのはいいことだよな。

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