【究極の押し掛けラブコメ】後輩ちゃんは先輩と付き合ってます!!?

夕姫

96. 可哀想ですよ?

96. 可哀想ですよ?



 うーん……今年もあと2週間か。そう言えば夏帆は正月は実家に帰るのだろうか。聞いておいたほうがいいよな。

「なぁ夏帆。お前は元旦どうするんだ?実家に帰るのか?」

「先輩は帰るんですか?」

「は?オレが聞いてるんだが?」

「だから先輩が帰るなら私も帰りますし、帰らないなら私も帰りません」

 えぇ……。何その答え。どっちにしろオレが決めろってこと?まあいいけどさ。

「オレはとりあえず帰らないかな。」

「わかりました!じゃあ私も帰りません。先輩の家で年越しをして、姫はじめをして……初詣に行って……」

「ちょっと待て!!なんでそうなる!?」

 いきなり何言ってんだよこいつは。

「だって、私のこと好きじゃないんですか?」

「そっそれは否定しないけど……」

「ほらやっぱり。それに私は先輩のこと大好きですからね!」

 くっ……可愛い笑顔を向けてくるんじゃねぇ!卑怯だぞ。

「とっとにかくだ!そういうことはまだ早いだろ!」

「むぅ~。じゃあいつになったらいいんですか?エッチな本は読むくせに。もしかして私が初めてだから面倒だとか思ってませんか?」

 いや本当にそんなこと思ってないし。むしろ初めてだからこそ大切にしたいというか……。

「別に面倒とかじゃない。ただもう少しだけ待ってほしいだけだ」

「もう、しょうがないですね。それなら待つことにします。でも早くしてくださいね?」

 なんで女のお前のほうががっついてくるんだよ……とは思ったものの口には出さない。きっと言ったら面倒だし。

「あっそうだ!それならキスしてください。先輩の愛が足りません!」

「は?」

「だからキスですよキス。私可哀想ですよ?ほらほら早く!」

「そうやってするもんじゃねぇだろ!」

「だって文化祭以来してくれませんし。してくれないなら、私大声で泣きます。」

 うぜぇ……この女マジでウザすぎる。ったく……なんでこんなことになってんだよ。

「わかったよ……ほら目瞑れ」

「わーい!」

 目を瞑っている夏帆の唇に自分の唇を重ねる。そして数秒後離す。すると夏帆は不満げな表情を浮かべていた。

「あの……それだけですか?もっと激しくして欲しいんですけど?」

「うるさい黙れ。これで十分だろ」

「むぅ~。先輩がキスしてくれただけで満足ですけど、なんか納得いかないんですよね……」

「頼む納得しろ!今日はもう出来ないからな!」

 2回目の夏帆とのキス。正直恥ずかしかった。良く恋人たちは毎回毎回できるよな……オレには無理があるぞ。それから少しの間沈黙の時間が続き、気まずかったのだった。

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