【究極の押し掛けラブコメ】後輩ちゃんは先輩と付き合ってます!!?

夕姫

51. 真夏の夜の悪夢

51. 真夏の夜の悪夢



 また事件は繰り返される……。白石が帰って2時間後、オレは寝る準備をしているとインターホンが鳴った。まさか……またあいつか?そう思いながらも扉を開ける。

「あっ!先輩助けてください!」

「……またかよ。帰れ」

「私の部屋のエアコン壊れちゃったみたいで、今日だけでいいので泊めてください!このままじゃ死んじゃいますよぉ!」

「お前……それはダメだろ。ほら、今から漫画喫茶とか行けよ。金なら貸してやるぞ?」

「もう!意地悪言わないでお願いしますよぉ。別に先輩の部屋には毎日行ってるし、私たち付き合ってるんですから」

「付き合ってねぇから問題なんだろ!おい、やめろって」

 オレの腕に抱きついてくる白石を必死に引き剥がす。こいつなんでこんなに力あるんだよ!いや、今はそんなことどうでもいい。なんでこんなにもこいつは図々しいんだ。

「先輩。いいんですか?私が明日部屋で干からびてても……それこそ本当に死んでも知りませんよ?今日は熱帯夜ってニュースでも言ってましたし」

「……。」

「それに熱中症で何人も入院して……」

「わかったよ!入れればいいんだろ!絶対に静かにしてろよな!?」

「やったぁー!ありがとうございますぅ!」

「はぁ……マジかよ……」

 こうしてオレは白石を部屋に上げることになった。ただでさえ暑さで疲れてるのに余計な疲労が増えた気がする。

「くそっ。ベッド狭いだろうが……さっさと寝ろよ。電気消すぞ」

「はい!お休みなさい」

 オレは明かりを消してからベッドに入り目を瞑る。落ち着け……相手は白石だ。あんなウザいやつは無視に限る。大丈夫眠いからこのまま眠れるはずだ。

「せ〜んぱい……」

 耳元で甘い声が聞こえる。なんか背中に当たってるような感触もある。

「こっち向いてくれませんかぁ……」

「うるさい。黙れ。もう寝ろ。」

「だってぇ。せっかく先輩と一緒にいるんですよ?しかも同じベッドの中に。」

「暑いから離れろ」

「もしかしてもう我慢できなくて私に何かしちゃいそうですか?私は……構いませんけど?」

 ……こいつ。何煽ってきてんだよ。ここは心を無にして何も感じないようにしよう。そうすればきっとすぐに眠りにつくはず……。しばらくすると白石の方から規則正しい呼吸音が聞こえてきた。よし、やっと寝てくれたのか。

「先輩。大好きです……」

 え?嘘だろ?今のって寝言だよな?なんで今言うんだよ!おかげで変な妄想してしまったじゃないか……。うぜぇ。こいつ寝てもオレに絡んでくるのかよ……。

 結局その日は朝まで眠ることはなかった。

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