16.　ある夜の事件

16.　ある夜の事件



　ある日の夜。事件は突然起こった。白石が帰って2時間後、オレは寝る準備をしているとインターホンが鳴った。誰だこんな非常識な時間にと思いつつも扉をあける。

「あっ！先輩助けてください！」

「……帰れ」

「私の部屋のお風呂壊れちゃったみたいで、お風呂貸してください！シャワーだけでいいので！」

「あー……なぁ白石。この目の前の道を真っ直ぐ行ってだな、コンビニを左に……」

「先輩。まさか銭湯を案内してます？そんな意地悪言わないでお風呂貸してくださいよ！私たち付き合ってるのに！」

「だから付き合ってねぇし！それとせめて持っているものを何かの袋とかにいれてくれないかな？着替えの下着とか丸見えなんだが？」

「え？どこ見てるんですか先輩ったら！イヤらしいんですから！」

　くそっ。ムカつく……。オレは渋々白石を部屋に上げる。

「いいか？絶対掃除して帰れよ！髪の毛一本も残すなよな？」

「分かってますって！先輩は私を何歳だと思ってるんですか！？」

　次に入るときに白石の髪の毛とか落ちてたら色々想像してしまいそうだから掃除させる。そうしないとなんかオレが負けたみたいで悔しいからな。

「分かったならさっさと入れよ」

「じゃあお言葉に甘えて失礼しまーす！」

　そう言うと彼女はバスルームに入っていく。しばらくするとシャワーの音が部屋に響いてくる。くそっ。変な想像してしまいそうだ……早く終わらないかな。

　それから10分くらい経った頃だろうか、ようやく彼女の声が聞こえてきた。

「せんぱーい！タオル忘れちゃいました！貸してください！」

「はぁ！？……絶対見せるなよな！扉から渡すから」

「それは私のセリフなんですけど……」

　とりあえず脱衣所まで行きタオルを渡す。そして白石が着替えて出てくる。

「先輩。ありがとうございました。もしかして色々想像しちゃいました？私の裸とか？いやーん。」

「うぜぇ。もう帰れよ」

「え？でもまだお掃除してませんよ？髪の毛とか落ちてたら私の裸とか想像しません？」

「いいからもう帰れよ！2度と貸さんからな！」

　やっと帰ったか。まったく疲れたな。まぁこれでゆっくり寝れるわ。と思ったのだが……お風呂が週末にしか直らない事実を聞かされ、週末までお風呂を貸した。結局オレは色々想像してしまい、寝不足になるのだった。