ポンコツお嬢様とその執事クソである

黒月白華

ラブレターをもらったわ!

「魚住…これを見て」
と私は帰り道で鞄から、手紙を取り出して見せた。

「手紙?今時いまどき古風な…」
と言うが無視して

「そう言うことじゃないの!!これは!どう見ても私への、ラブレターよ!!」
ドヤァっと私は魚住の顔の前に突き出した。

「ら、ラブレター……今時いまどき…ライメですらなく、ラブレター!?差出人明治時代のタイムトラベラーかもしれませんよ?」

「そんなわけないでしょ!?なんで明治時代の人が私にラブレター寄越すわけ!?」

「お嬢様が、ラブレターをもらう日が来ようとは……!なんかもう世界が終わるんじゃ!?」
とそこまで言われる。ハハーン、魚住ったら、もしや…嫉妬…してるのかしら?わかりにくい奴ね!

「ふふふ、まあいいわ。開けて読んでみるわ。きっと情熱的な愛の言葉が私に向けて書いてあるのよー!」
とチラチラ見せびらかす私に、魚住は興味なくイヤホンでミミたんのアニメを見始めた!!

えっ!?嘘でしょ?全然興味ないの?ちょっと?私がラブレターもらったことに関してもうどうでもいいの?
それとも…内容を知りたくなくてイヤホンを?


「オホン!!えー!!小檜山美玖様!!

貴方あなたのことをお見かけし、一目で好きになりました!もう僕の心は貴方あなたのことでいっぱいです!!

貴方あなたがいない毎日は辛い!僕と一緒に生きてください!

アイラブユーミク♡
明日の放課後に体育館裏で待っております!絶対来てね!

だって!!」
最後の方の、アイラブユーミク♡は文才無いけどでも正真正銘のラブレターだわ。

私は魚住のイヤホンを外し、目の前にヒラヒラと手紙を見せて

「どうよ!本当にラブレターだわ!明日は告白受けちゃうわよ?どうしようかしら!!イケメンだったら!!」
と勝ち誇り言うと、魚住は目を細め

「はあ…。じゃあ、そのかたと付き合えばいいじゃないっすか。別に俺には関係ないし、もう勝手にしてくれませんかね?

つかミミたんが見れないからどけ!」
と言われもう後はスルーされた!!
ど、どんだけ興味ないのよ!!この私がラブレターをもらったのに!!

え?本当に1ミリも興味ないんじゃ?ミミたんのアニメ見て興奮してるし!!

まあ、魚住のミミたん好きは知ってるけど…。

はあ…。
なんか体育館裏行くの嫌になってきたわ。どうしてかしら。

はっ!待って!?よく考えたら!これって!!
と思い辺り、私は魚住を揺さぶった!

「ちょっと魚住!!こ、これはもしや、罠かもしれないわ!!」
と言うとイヤホンを外し

「うるせーな!さっきから!勝手に行ってくれよ!!」
と言う。

「だから!罠かもしれないわ!これはラブレターじゃなく、不良達が私を呼び出して、ボコボコにしつつ、かつ、いやらしい事をされるフラグじゃないかしら!?」
少女漫画で、よくある展開を言うと

「さっきまでラブレターだと浮かれまくり、アホみたいなドヤ顔をしていたのに…今度はなんですか?」
と言う魚住。

「だって…こんなに上手く行くわけないと思わない?ラブレターよ?今時いまどき、古い手だし!」

「いや、さっきそれ、俺が言ったやつだぞ?」

「とにかく!あんた私の執事なんだから!つ、付いてきなさいよ!!」
と言うと魚住は

「嫌です。明日はミミたんの画集の発売日だから予約したの取りに行くので無理です!1人で行け!」
と言う。

「な!私とミミたん、どっちを優先するのよ!」

「ミミたんに決まっている!!」
ですよねー。

「うえーん、魚住ー!私が変な奴にボコられてもいいっての?いやらしい事されてもいいっての?」
と言うと魚住は

「そんなに言うなら、行かなければいいだろ?めんどくせーな」
と言ったので、私はドヤ顔をし

「はい!言いました!!魚住!それはやっぱり嫉妬ね!ふふふ!そんなに行ってほしくないなら行かないわ!
ほーほほほほ!」
と笑うと心底しんそこ嫌そうな顔をし

「はあ、もう勝手にしてくれ?俺は知らん」
とまたミミたんのアニメを見はじめた。



仕方なく私は、次の日の放課後、警戒しつつもこそっと体育館裏の陰から男を見た!

すると普通にニキビ顔で唇が分厚い、タラコみたいな男で、腹はダルんと出ているし、とにかく不細工な男で、見た目からして嫌だった。しかも手にバラの花束を持っていた!!

嫌だ!絶対付き合いたくない!!
と見なかった事にし、ソッとその場から立ち去った。



「ミミたんかわゆすなあ♡」
と魚住が買ってきた画集を見てニヤニヤしていた。

「おかえり!お嬢様。イケメンとは付き合えましたか?よっしゃ!今日は奮発して、ご馳走作ってやりますか?」
と気前良く腕をまくるが私は

なんの話かしら?私ラブレターとか、もらってないわよ?」
と言い、室内テントの中でガーガー眠ったのだった

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