ポンコツお嬢様とその執事クソである

黒月白華

お嬢様、デートしましょうか

「お嬢様、今度の土曜日、空いてあいてます?」
と魚住がスーパーの帰り道に普通に聞いてきた。因みに奴は軽い方のエコバッグを持ち、私は何故か重い方のエコバッグを持っている!

「学校が休みだから空いてるあいてるに決まってんでしょ!

ていうか同じアパートにいて聞かないでくれる?」
と言うと魚住は

「とりあえず空いてるあいてると言うことで…、じゃあ、デートしましょうか」
とスマホをいじりながら言う。

んん?

今、デートしましょうって言った?

ええ?デートしましょう?誰と誰が?

……。

もしや…わ、私のことかしら!!?
いや、私しか、この場に居ないし、魚住が霊感あって見えないなにかと話してるんじゃないなら間違いなく私とデートしましょうって言った!!

な、なによ!魚住ったら!
やっぱり、この超絶美少女な私の事が好きで好きで好きでたまらないのね!?

ふふふ、私ってつみな…、お…、ん…、な…!

と思っていたら、虫ケラを見るような目で

「可哀想な、お嬢様…。恋愛的なデートとしか捉えてないんですね?

最近じゃ、2人で出かけることがデートと言い、別に恋愛関係じゃなくてもデートと呼ぶんですよ?」
と魚住が言った。

「え?そ、そうなの?」

「そうなんですよー、だからこの誘いを勘違いして、

「魚住ったら!私の事が好きなのね!」
とか思ってたらぶん殴りますよ」

怖っこわっ!!じゃあなんで私をデートに誘うのよ!?暇なの?1人で出かけるの怖いとか?」

「違うわ!別に他の女でも良かったけど、

ほら、俺こう見えてもイケメンなんで、声かければデートしてくれる女子、たくさんいるんですけどね…」

なんの自慢なの?

「まあ、一般の女子達が呪われたり、怖い目に遭わされたら、後々あとあとの処理が面倒だし、お嬢様なら、ぶっちゃけ呪われても大丈夫かと…」
と言うので流石さすがにキレた。

「なんなのよ!?私は呪われても大丈夫とか!あんた、ほんとクソね」
と言うと魚住は

「まだ気付きませんか?じつは姉が…、土曜日に、こちらに来るくるようなので」
と魚住が言い、私は青ざめた!!

「な、なんですって!?あ、あやさんが!?」
と震える!

「はい…。だから、お嬢様と仕方なくデートに誘ったのです…。因みにもちろん俺達が一緒に暮らしてるとかは秘密です」

「あ、当たり前じゃない!!そんなことあやさんに知られたら!わ、私がぶち殺されるわよ!!」

魚住あや…。

魚住の姉でゆるふわ系の美人で、今はアメリカの大学に留学しているが…、弟の魚住に昔から…。じ、じつの姉でありながら魚住に告白し、好意を持ち、ブラコンを通り越し、危ない橋を渡ろうとしている恐ろしい女で、魚住に近付く女という女を陰で排除してきた女だ!

この私ですら、小檜山こひやまの令嬢でなければ…、ビルから突き落とされてもおかしくない!!

あやさんが…、こっちに帰ってくるなんて…、私はしばらくホテルにでも逃げるわ!荷物を纏めて頂戴!魚住!」
と言うと、

「それはできません。1年間の罰ゲーム違反になりますので」

「い、違反よりあんたの姉の方が恐ろしいわよ!!わ、私、絶対に殺されるわ!デートなんてしてる場合じゃないわ!!」

「このさい、姉に俺を諦めてもらうチャンスで、このクソデート計画に耐えられるのはお嬢様しかいないと!!」

「ふっざけんじゃないわよ!!私を巻き込まないでほしいわ!

昔、あやさんに私がどんな目に遭わされたと思ってるのよ!!」
と言うと魚住は平然と

「姉さんとお嬢様が腕相撲して、お嬢様が手首やら指やら骨折させられて、お嬢様のマッサージを姉さんがして…、お嬢様は全身骨折とか?」

「あんたの姉さん怖いから!!あんな憎しみフルコースマッサージ二度とごめんよ!!異常だからね!」
とにかくデートはごめんだと断ると魚住は…

「焼肉です!じつは、高清水たかしみずくんから、焼肉の貸切券をもらいまして!!

さあ、どうします!?焼肉を食べれるチャンスですよ!お嬢様!」
と魚住は焼肉券をヒラヒラさせた!

ひ、卑怯だわ!焼肉とあやさんを天秤にかけるだなんて!やはりクソだわ!この執事!

くっ!

焼肉!あやさん!焼肉!あやさん!焼肉!焼肉!焼肉!焼肉!焼肉!焼肉!焼肉!

「や!焼肉うあうあいあいいいいあうあいいいいいいいい!!!」
と叫んでしまった!

「じゃあ土曜日!とりあえず別々に時間ずらして家を出て駅で待ち合わせという事で!

姉がたぶん駅から見張ってると思うんで」
と怖い事をさらりと魚住が言い、私は焼肉に屈した。

「…あやさんは怖いけど……。私は!焼肉を食べるわ!」
と瞳に焼肉ねつがこもった。


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