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【大賢者の弟子?相棒?】世界の為に尽くした大賢者は転生したらただの『アイアンソード』で草生えたので、とりあえず貴族令嬢を最強にする事に決めました。

夕姫

48. 防御魔法

48. 防御魔法


 サーシャは私を握りしめ、サンドワームに向かって走り出そうとするがそれをマーリンが止める。

「行きます!」

「待つのじゃサーシャ!」

「マーリン様?」

「バカ者。もしあの毒液をその『アイアンソード』が受けてみよ……溶けてしまうぞい」

 確かに……あれほどの威力だと私も耐えられないわね。私はただの『アイアンソード』だし。というかあんな毒液で人生終わるのはイヤよ!そしてサンドワームはその巨体を揺らしながら突進してくる。

 サーシャとマーリンはなんとか横に飛んで回避する……しかしなんて速さなの。そしてその勢いのまま方向転換をしてまた向かってくる。

 これはマズいわね。さっきから避け続けてるけど……このままじゃジリ貧だわ。それにしても一体なんなのよこいつ?

「サーシャ!防御魔法を頼む。ヤツはワシが倒すのじゃ」

「防御魔法?そんな魔法知らないですよ?」

「……その剣の精霊なら使えるはずじゃ!頼んだぞい!」

「アイリス様なら?……分かりました!」

 こらこらマーリン。私の事知ってるみたいな感じで話をすすめないでよ。バレるじゃない。でも仕方ないか……。それにサーシャの前で防御魔法は一度だけ使ったことあるし。サーシャは覚えてなさそうだけどさ。サーシャは私を握りながら心配そうに尋ねる。

「アイリス様できますか?」

 私を誰だと思ってるのよ。この大賢者アイリス=フォン=アスタータにできないことはないわ!

 《……私に続いて詠唱しなさいサーシャ。我想う。聖なる光の力よ我が前に集いて盾となれ『プロテクション』》

「我願う。聖なる光の力よが前に集いて盾となれ『プロテクション』」

 私が詠唱を終えると同時にサーシャも一緒に唱える。すると私たちの前に聖なる光の膜が現れて、そのまま私たちを守るように包み込む。これで少しは安心ね。さぁ反撃開始よ!

「これであの毒液からは多少はもつじゃろ。」

「すごいにゃ!サーシャちゃんは聖職者なのにゃ?もしかして聖女にゃ?」

「違います。これは私の魔法じゃなくてアイリス様の……」

「話は後じゃ!今は集中せい!」

 サーシャたちが話していると、サンドワームは毒液を吐きながらもこちらに向かって突っ込んでくる。どうやら縄張りに侵入されて相当怒ってるみたいね。

「一撃で終わらせてやろう。我堕ちる。闇を司りし者よ今こそ汝の力を解き放たん。いでよ『ダークブリンガー』!」

 マーリンが魔法を詠唱すると、突如地面が黒い渦のようなものが現れる。そしてその中から巨大な漆黒の剣が無数に現れサンドワームに向かって飛んでいく。それはまるで流星のように降り注ぎサンドワームを襲う。

「グギャアアア!!」

 その無数の攻撃に耐え切れずサンドワームは断末魔をあげながら倒れていく。そしてその体はどんどん崩れていき最後には砂の山になった。

「ふぅ……こんなもんかのう。しかし久々に本気を出してしまったわい」

「マーリン様凄かったです!」

「ふむ。サーシャもナイスアシストじゃ。流石じゃな」

「いえそんな……これはアイリス様の力ですし。でもありがとうございます」

 2人はお互いを称えあっている。なんかいい雰囲気になってるわね。まぁ私のおかげで勝てたんだけどさ。サンドワームが消えたことで出口らしき光が見えたのでサーシャたちはそこに向かう。

「しかし本当に驚いたのじゃ。まさかあの毒液を受けて無傷とは。流石のワシも冷や汗が出たのじゃ」

「そうですね。私も驚きました。でもアイリス様のおかげで助かりましたね」

「アイリス様?誰にゃ?」

「あっリズさん。実はこの剣には精霊様が宿ってるんです!私たちがピンチの時に魔法で助けてくれるんですよ!」

 この子。少しは隠そうとしないのかしら?というか私の存在バレてるし。でもここで話すわけにもいかないわよね……。

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