【最強知識の聖女様】私はただの聖女なのです。本の知識は優秀なのです! ~聖魔法?そんなの知らないのです!~

夕姫

38. 逃走劇

38. 逃走劇




 私は本の知識を使いソルファス騎士団の騎士たちを撃退し、何とか列車から脱出することに成功するのです。そして大きな警報が列車の外まで鳴り響く、さすがは精鋭部隊なのです。もう気づかれたのです。でも私はすぐにみんなと合流ができたのです。そしてロゼッタ様を先頭に街の外に走っていく。

「師匠どうするの!?」

「とりあえずワシに着いてくるのじゃ!ワシの記憶が正しければ必ず逃げられるのじゃ!」

「サリア様大丈夫?」

「はい。急ぎましょう!」

 そして砂漠が広がる外に出てしばらく走り続ける。

「うむ。見えてきたのじゃ。」

 ロゼッタ様が指を指す方向に大きな洞窟らしきものが見えるのです。

「師匠あそこは?」

「大昔に砂漠を渡るために作った遺跡洞じゃ。あそこを抜ければ王都の近くの街まで行くことができるのじゃ。昔は砂漠鉄道などなかったからのう。」

「さすがはロゼッタ様なのです!伊達に長く生きてないのです!」

 なるほど。ロゼッタ様はその遺跡洞の存在を知っていたのですね。そしてサリア様が話す。

「すいません。皆さんを危険な目に会わせてしまって…こんなことなら淡い期待を持たなければ良かった…」

「ダメなのです。サリア様がそういう考えを持ってはいけないのです。それにここで立ち止まっていても仕方ないのです。ここは覚悟を決めて進むしかないと思うのです。」

「アリーゼ様…はい。」

 私がそう言うと、サリア様は私の手を握りながら答えてくれる。その手はとても暖かくて優しいものだったのです。

 私たちはそのまま砂漠の遺跡洞に向かって進んでいくのです。そして遺跡洞に着く、中は洞窟そのもので地面は砂で埋め尽くされており、まさに天然の通路なのです。

「騎士団は追ってきてないよね?あたし怖いんだけど…」

「ミルディさん大丈夫。その時はボクが騎士を倒すから!」

「フィオナ格好いい!」

「えへへ。」

 そんな会話をしながら先に進む。これだけ自信が持てるようになったフィオナが頼もしいのは私も嬉しい限りなのです。

「そういえばアリーゼはどうやって列車から抜け出してきたの?あたし結構心配だったんだけど。」

「それは男性に身体を見られるのは抵抗があるのですと言ったのです。1人の騎士に街に女性騎士を呼びに行ってもらって、そしてもう1人の騎士を連れ出して、ちょいっという訳なのです!」

「あの広大な砂漠で下着姿になっていたお主がか?笑うのじゃが?」

「あれは違うのです!サンドリザードを倒すために仕方なくなのですよ!」

 本当に大変だったのです。しかもサンドリザードを倒したら倒したでまた大変な目にあったのです。そう全身日焼けはするし、身体は熱くて眠れなかったのです。まぁ今は思い出したくもないのです。

 それから少し歩くと出口が見えてくる。そこには小さな街が広がっていた。

「あれ?王都の近くの街って…」

 私たちが見た光景はまさに廃墟の街だった。建物はボロボロになっており、人が住んでいる気配はない。おそらくこの辺りには誰も住んでいないだろう。

「うむ。ここはラストン。大昔ワシが拠点にしておった小さな街じゃ。もう廃れてしまったのか…残念じゃの。」

「師匠…元気だして!」

「ありがとうフィオナ」

 そういうロゼッタ様は悲しい顔をしているのです。時代は流れるのです。ロゼッタ様があの時見ていた栄えているラストンの姿はもう見ることはできないのですね。

 しかしロゼッタ様はすぐに顔を上げてみんなに声をかける。そしてこれからの行動について話し始める。

 幸いにもこの街は無人のようです。誰かに見つかる前に急いで行動する必要があるのです。私達はそのまま街の奥にある建物に入っていく。建物の中に入るとそこは広い空間があり、中にはたくさんの棚や箱が置かれている。

「まずは服を調達するのじゃ。この格好ではすぐに見つかる。」

「そうだね。この街がいつ廃墟になったかだけど、着れる服を探そう!」

「ローブ!ローブ探すのです!私は聖女なのです。聖女はローブな
 のです!」

 ミルディはそういうと近くに置いてある木箱を開け始める。そして数分後…… ミルディが持ってきたのは黒いフード付きのマントと白いワンピース。私はそれを着るととても動きやすかったのでこれで正解なのです!

「良かったアリーゼとロゼッタ様に合う服が残ってて」

「どういう意味なのです?ロゼッタ様は分かるのですけど。」

「アリーゼは…その…前が閉まらないじゃん。大きいから。ロゼッタ様は子供みたいに小さいしさ。」

「人を子供扱いするでないミルディ!」

 ミルディはヒョイっとロゼッタ様の杖を軽くかわす。なぜ私がいつも叩かれているあの杖を、ああも軽々とよけれるのです?それと私の豊満なお胸の事なのですね。でも服が合わないほど大きいとは思ってないのですけど…。

 まぁとりあえずこれで一安心。そのあとは食料の確保し、ここで一晩過ごすことにしたのです。そうなのです!野営なのです!本を読んで憧れていたのです!

 一応廃墟の中なので完全な野営と読んでいいものかは分かりませんがとても楽しみなのです!そして夕食をみんなで作るのです!簡単なスープでしたけどとても美味しかったのです!そして食べて休んでいるところにロゼッタ様が話しかけてくる。

「ああ…アリーゼは見張りを頼むのじゃ。ワシかお主しか出来んじゃろ。」

「えぇー!?」

「ええじゃない。ほれ、行くのじゃ。時間が来たら交代する。」

「はいなのです……」

 結局私は1人で見張りをする羽目になってしまったのです。ちょっとだけ寂しいのです。それにみんな勘違いしてるのです。私は聖女なのです!戦闘職じゃないのですよ!



 次の日の朝になりました。 ちなみに今いる場所は街の中央広場。ここに来るまでに廃墟の街を探索しましたが特に何も見つからなかったのです。

「さてあとはどうやって王都に潜入するかじゃな」

 ソルファス王国の王都に入るには検問所を通る必要がある。しかし今の私達の姿は服だけは違うのですが身分証はそのままなのです。つまりこのまま王都に入れば間違いなく捕まるのです。

 何か方法はないのか考えているとフィオナが手を上げる。

「何かに潜り込めないのかな?例えば荷物とか。よく本の物語に書いてあるよね?」

 確かに物語の中には商人の馬車などに忍び込んで目的地までたどり着くという話があるのです。私もそれに賛成したのですがロゼッタ様は首を横に振る。どうやら現実的ではないらしい。それなら他に方法はないかと考えていると、ミルディが口を開く。

「あのさロゼッタ様の魔法とかで変装する魔法とかないの?」

「ワシは使えん。あるならそうしておる。」

 私たちは騎士団から何とか逃げることはできたのです。しかし次は王都への潜入方法を模索することになるのでした。こんなに困難が続くなんてまるで物語のようです!と皆には内緒なのですが、こんな状況でも楽しんでしまう自分がいたのです。

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