【最強知識の聖女様】私はただの聖女なのです。本の知識は優秀なのです! ~聖魔法?そんなの知らないのです!~

夕姫

34. 聖女。諭す

34. 聖女。諭す




 昨日私たちが推測したことが正しいのならソルファス王国の王都は何かが起こっているということなのです。どっちにしても王都までは行くつもりだったので王都へ行くこと自体は問題はないのです。古代遺跡群、魔導大図書館の観光の目的はあったのですが…

 私だけがいつも通りやることがないのでサリア様に会いに行くことにする。私もいい加減何かやったほうがいいですよね……聖魔法が使えれば何でもできるんですけどね……。

 そんな事を考えながらサリア様がいる大型魔法船にたどり着く。入り口の扉をノックするこの大型魔法船は優秀で扉をノックすれば誰かが訪問したことが分かるようになっているみたいなのです。そして扉が開く。

「あら?聖女アリーゼ様?」

「こんにちはなのです。とりあえずお茶をしましょう!話はゆっくりするものなのです!」

 そして私は案内されて奥の部屋に入りサリア様に椅子に腰掛けるように言われる。

「聖女アリーゼ様。さぁそちらに。」

「ありがとうなのです。」

「紅茶はお好き?それでよろしいですか?」

「はい。お願いなのです。」

 そうするとサリア様は紅茶を入れるために一度部屋から出ていく。さて、ここから本番なのです!私は意識の深いところまで潜る。「世界書庫」お目当ての本を探しそれを手に取りページをめくる。

【秘密を聞き出す誘導会話術】
 1.相手の心をほぐし油断させる
 2.相手が自分の話を聞いてくれるような状態を作る
 3.自分の情報を相手に話す
 4.どんな手段を使ってでもまずその人の信頼を勝ち取る
 5.誘導成功後相手にこちらから質問をして話を逸らさないようにする
 6.最後の最後まで相手にとって一番良い提案をする。

 ………………なるほどです。この本を読んだ限りだと私の実力だったら、もしかしたら洗脳とかもできちゃうかもしれないのです!まあそこまでするつもりは全くないのですが。

 すると紅茶と少しのお菓子を持ってサリア様が戻ってくる。さて、聖女の実力(?)を見せる時なのです!聖女は常に困っている人を助ける存在。すべて聞き出してみせるのです!私は早速話を切り出していく。

「美味しそうなお菓子なのです!これはソルファス王国の名産か何かなのですか?」

「ルプレの実のクッキーです。確かに温暖地方にしかない果実なのでそうかもしれないですね。」

 よしよし順調なのです!もっともっとサリア様の心をほぐすのです!

「美味しいのです!ちなみにこれってどこで作られたものなんでしょうか!?すごく気になるのです!」

「これは私の手作りなんです。」

「手作り!?凄いのですサリア様は!それなら他の料理も得意なんですかね?」

「多少なら。」

 よし。次は私の話を聞いてもらう、そして私の情報をサリア様に話す。

「得意なことがあって素晴らしいのです。実は私も得意なことがあるのですよ!一度読んだ本の内容を覚えていることなのです!」

「聖女様は読書をよくしているときいたことがありますが、内容まで覚えているのは凄いですね。」

「それほどでもないのです!だから昨日言わなかったのですけど、実は私たちは王都に行こうと思っているのです。」

「えっ!!?いつですか!?」

「明日なのです?元から古代遺跡群や魔導大図書館に観光することが目的だったのです。たぶん今日で砂漠鉄道の資金が貯まるのです。」

 私がそう言うとその言葉に反応してしまったのかサリア様がとても悲しい顔をする。うまく誘導できたのです。

「あのサリア様?魔導大図書館には魔導書が数千冊あると聞いたのです。でもそれを閲覧するには国王の許可が必要と聞いたのです。」

「えっ…あっそうですね。」

「でも私は王族の方と気軽に話すことができるような身分ではないのです。何か方法はありますかね?どうしても魔導書が読みたいのです………。」

 今度は私が悲しげな表情を作り尋ねるのです!でもこれは本当の事なのですけど。まぁこれで大丈夫なのです。もうひと押ししてみるのです! するとサリア様は私に提案してくるのです。

「あの!それなら私も王族ですし良かったら力になりますよ?」

「いいのですか?ありかとうございますなのです!」

「だから…私を王都まで連れていってください。お願いします。」

 はいなのです!作戦通りの展開になったと思うのです!!その言葉を聞いて私はサリア様の顔を真剣な顔で見る。そしてその言葉に答えると共に質問をすることにする。

「それならなぜ王都に行きたいのか話してほしいのです。私は話したのです。次はサリア様の番なのです。」

「それは……」

「サリア様にお願いをしても、魔導大図書館に入ることが出来ないことくらい分かるのです。私は聖女。サリア様を救うことができるかもしれないのです。」

「聖女アリーゼ様……わかりました……」

 そこからはとても長い話でしたが要約させていただくとするならば、唯一の家族の妹さんを助けたいとのことでした。サリア様はずっと昔から可愛くて仕方がなかった妹のことが心配なのだとか。

 サリア様の小国ジルベールは1週間前に王国に制圧され、妹さんは捕虜扱いで王城へ、サリア様は大型魔法船で逃げていたとの事。しかし魔法石がつきてラインストーンに停泊していたようなのです。

 その妹さんは今ソルファス王城で捕虜になっているみたいなのです。でもサリア様のジルベールは小国の王族。そんな国よりももっと上の大国の王城での扱いなんて想像を絶するものだと思うのです……。いつ反逆者として処刑されるかわからない。だから姉として助けに行ってあげたいとのことだったのです。

「私が乗っていたこの大型魔法船の存在も、もう報告されているでしょう。だから時間がない。せめて妹のアリアだけでも助けたい…。」

 そう泣きながら私に伝えてくる。私はその涙を拭ってサリア様に優しく話す。

「私が一緒に妹さんを助けるのです。だから安心してくださいなのです。聖女は困っている人を助ける存在なのです。」

「ありがとう…聖女アリーゼ様…」

 サリア様は笑顔で私に答えてくれた。こうやって笑顔を見せてもらえるだけで嬉しく思ってしまうのです。こうなった以上必ず救いましょう。私は改めて決意を固めていくのでした!

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