【最強知識の聖女様】私はただの聖女なのです。本の知識は優秀なのです! ~聖魔法?そんなの知らないのです!~

夕姫

13. マールウッド家の噂

13. マールウッド家の噂



 私たちはアルグラッドさんから譲り受けた貴族紋のブレスレットを返そうとマールウッド家に向かったのですが、なぜか門前払いを受けてしまうのです。

 ロゼッタ様が何かあったと言っているので、街で情報を集めることにしたのです。確かに門番の人の対応はあり得なかったので間違いはないと思うのです。

「こういう時は酒場なのです!本に書いてあったのです!」

「ああ…アリーゼ確かにそうかもだけど、でもロゼッタ様の見た目じゃ中に入れないんじゃない?どう見ても幼女だし。酒場でも門前払いを受けそうなんだけど…」

「失礼な!ミルディ!ワシは幼女じゃないぞ!」

 プンスカと怒るロゼッタ様に私は頭を撫でてあげると、子供扱いするでない!と言って杖を振り回して更に怒りだしたのです。おかしいのです。本に書いてあった通りにしたのに…ミルディがギルドなら情報が手に入るんじゃない?と言ったので、仕方なくギルドに行くことにしたのです。ギルドならロゼッタ様も入れるので、受付嬢のお姉さんを捕まえて話をすることにしたのです。

「あの少しお尋ねします。貴族のマールウッド家で何かありま…」

「こらこらアリーゼ!こほん。すいません最近貴族絡みの事件か何かありましたか?」

 私の発言を遮りミルディが質問をする。何かダメだったのですかね?ロゼッタ様が小声で私に言う。

「お主。もう少し言葉を考えよ。直接的じゃバカ者。ミルディを見習うのじゃな。」

「うぅ…ヒドイのです…」

 するとお姉さんと段々打ち解けてきた頃、後ろの方にいた男性が近寄ってきて話しかけてきたです。

「君たちは一体何の話をしているんだ?それに見慣れない顔だが、この街の住人か?」

「あぁ申し訳ありません。あたしたち旅の冒険者でして。少し聞きたいことがあって。最近マールウッド家のことで何か変わったことはありませんでしたか?」

「マールウッド家か…」

 ミルディが代表して話を進めるようですね。さすがなのです。男性は顎に手を当て考える仕草をして答えてくれたのです。

 そのギルドの男性の話では、なんでも少し前まで普通だったらしいのですが、突然当主であるマールウッド公爵が急死し、長男のクリスフォード・マールウッドが跡を継いでからは豹変してしまったみたいですね。

 クリスフォード・マールウッドはもともと悪い噂の絶えなかった人だったらしく、街の人からの評判はかなり悪かったみたいなのです。そしてその横暴さは街の人にも影響が出ているとか……

「なるほどね……それにしても急に死んだっておかしくない?病死とかならともかく暗殺なんてありえないよね?」

「暗殺なのです!?」

「いや落ち着けアリーゼ。その可能性もあると思うのじゃが…」

 そうロゼッタ様は言うと一呼吸おいて真剣な顔で話し始めるのです。

「ただ……これはあくまでもワシ個人の見解なんじゃが、もしかしたら悪魔憑きかも知れぬな。このパターンは昔からよくある。」

「悪魔憑きですか?それなら大変なのです!」

 ロゼッタ様の話では「悪魔の依代」と呼ばれる魔道具を使って自分の意思とは関係なく操ってしまう恐ろしいもの。その後もギルドでいくつか話を聞いたのですが、有力な情報は得られなかったのです。

 でも街の人にも影響が出ているのは見過ごせないのです!やはり実際にマールウッド家に行ってみるしかないのですかね?とは言っても入り口から中に入れるわけじゃありませんし…

「例えばマールウッド家に入れたとしても、本当にロゼッタ様の言う通りその悪魔憑きが原因なら対処法とかあるの?」

「もちろん聖魔法で悪魔を祓うのです!」

「……いやアリーゼ、聖魔法つかえないんだよね?」

 ぐっ……痛いとこを突いてくるのです。確かに私は使えないのです。それならば別の方法を考える必要があるのです。

「ねぇロゼッタ様の魔法で何とかできないの?なんか転移できる魔法で中に入ってパパッと倒すとか?」

「ワシは転移魔法は使えん。なんなら今のワシの魔力では第1等級魔法しか使えんのじゃ。」

 この世界では魔法の能力に等級があるのです。確か……
 第0等級・・・いわゆる生活魔法
 第1等級・・・初級の魔物と戦える程度の魔法
 第2等級・・・中級の魔物と戦える程度の魔法
 第3等級・・・上級の魔物と戦える程度の魔法
 第4等級・・・最上位クラスの魔法
 第5等級・・・賢者、魔女クラスの魔法

 と本に書いてあったのです。魔力の等級は各国の王城に在籍している賢者様が測ることができるのです。ロゼッタ様の今の魔力は第1等級なので、一応、初級の魔物戦うことができるレベルではあるのです。全盛期ならおそらく第5等級はあったと思うのですけど…。

「とりあえずどうする?アリーゼ。」

「そうですね…もし悪魔憑きの場合の対処法を考えるのです!少し待っててくださいなのです。」

 私は目を閉じる。そして意識の深いところまでおりていく。そう「世界書庫」なのです。その書庫から一冊の本を見つける。これなのです!そしてその本のページをめくる。

【悪魔の依代について】
 悪魔と契約することにより手に入れた力。契約した者は、精神支配系の呪いにかかり、常に悪魔と心の中で会話ができる。また、悪魔は対象者の体に乗り移ることができる。そしてその対処法は、聖魔法による攻撃、契約を破棄する、または純銀の聖水を使う、など。

 私はその本をしまい、意識を戻す。恐らくこの方法で間違いないのです。

「見つけたのです!純銀の聖水なのです!ミルディ。純銀を作ってほしいのです!」

「純銀?それなら銀鉱石を錬金釜で溶かせば取ることできると思うけど…。」

「ロゼッタ様は純水をお願いなのです!水に魔力を注げばできるのですよね?」

「可能じゃが…お主。ワシをこき使うのか?まぁ…そのくらいなら良いが。」

 よしこれで準備は完了するのです。後はマールウッド家に入るだけなのですが……問題はどうやって入るかなのですよね……。さっきも言ったように正面玄関からは入れませんし……。やはり忍び込むしかなさそうなのです。

 対処法のための純銀の聖水をミルディとロゼッタ様にお願いをして私はマールウッド家を偵察に行くのです。大きな屋敷なので、どこかに忍び込めそうな場所があるはずなのです。

 しばらく探すと裏口に一ヶ所だけ壁が崩れて高さが低い壁があるのです。近くに木もありますね。私は本に書いてあったので木登りも得意なのです!ふむふむ。これならミルディに縄ばしごを作ってもらうのです。完璧なのです。

 これで忍び込む手段も決まりました。この問題は私たちが解決するのです!

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