婚約破棄して欲しいならこちらの願いを叶えてください

黒月白華

私を踏みつけなさい(ジーク)

この前シモン様が、とうとうマリアンネ様に踏まれた。シモン様は泣いて喜び失恋し、スッキリとマリアンネ様への想いを断ち切った様で、後日僕に頭を下げて

「お見苦しい所をお見せしましたが、これでお嬢様への想いも断ち切りましたので、これからは真面目な従者として頑張りますから、私の事はご心配なく、お嬢様とイチャイチャして下さって構いませんよ」
と言う。僕は照れて

「イチャイチャと言ってもそんな…!マリアンネ様とは結婚するまでは軽いキスのみと約束して…ああ!」
と恥ずかしくて言えない。

「お嬢様も照れ屋ですからね。ふふ。ジークフリート様、お嬢様の事を踏んで差し上げたらどうでしょう?泣いて喜びますよ!?」
と言うのでぼくは驚いて

「何言ってるんですか!?マリアンネ様にそんな失礼な事できませんよ!」

「でもお嬢様が頼めば貴方はやってあげるでしょう?」
とニヤリとするシモン様。まさかそんな!

と次の休みの日に秘密の家に行くと…シモン様に吹き込まれたのかマリアンネ様は

「ジークフリート様?…ととと、特別に私をお踏みなってもよろしくてよ!」
と言ってきた!!

「えええええ!?シモン様に絶対提案されたでしょ!!?そんな事しないでもいいですからぁ!?」

「ででできないと言うならもう婚約破棄しかありませんわね!」

「いやいや、何で!?」

「わ、わ、私の事が好きなら踏みつける事ができるはずですわ!」

「いや、好きだからこそ、そんな酷い事できないでしょ!シモン様は男だし、あれがあの人の性質上仕方ないけど、僕そんな趣味無いですし!」
と言うが

「シモンはシモンよ!私は…ジークフリート様に踏まれてみたいの!ほ、ほら?どんな感じなのとか!」

「だったらマリアンネ様が僕を踏みつけた方がいいでしょう!?」
と言うとマリアンネ様は

「家格は今関係ありませんわ!二人きりなのだから!どんな事をしようとも私怒らないでいて差し上げてよ!?」
そんな事言われても、女性を踏みつけるなんてとても無理だよ!!
しかしマリアンネ様は案外我儘なので一度言ったら実行するまで諦めないのを僕はもう知っているし、結局いう事を聞く羽目になるのだ。

「うう、では、とても軽く踏みます…」
なんかもうキリスト教の踏み絵する教徒の気持ちが少しわかったよ!!

では…と床に転がるマリアンネ様。で、僕は仕方なく足のつま先を軽ーく踏んだ。マリアンネ様は…

「ジークフリート様…そんな所じゃなくてもっと上ですわ!」

「ううう上!!?」

「背中を!!背中を踏んでグリグリして欲しいですわ!さ、最近凝っていますの!」
と言う。

「うう、仕方ない…」
とゾロリと足を乗せて軽くスリスリと回すと


「もっと強く!ですわ!!」
と言うからビクっとして

「ひいいいっ!ごめんなさいマリアンネ様あ!」
と少しだけ強めにグリグリしてやると

「はぁっ…」
と悩ましい色気に満ちた声が返ってきて、僕はなんか沸騰した。こんな声出すの?僕は欲が出てもっと踏みつけると

「ああ…ううん!」
と恥ずかしい声がして、ますます知らなかった世界の扉が開きかけ、慌てて閉めた!!

「もっ、もういいでしょう!?これ以上は無理です!限界です、マリアンネ様を踏みつけるなんて!」
と起こしてハグをして背中をさすった。マリアンネ様は

「痛くなんてないですのに…。ジークフリート様ったら、お優しいんだから…」
と言う。

「僕には無理ですよ…」
するとマリアンネ様はキッとしてこちらを見て

「無理ではありませんわ!もう一度!今度は言葉責めと共にお願いしますわ!

『この雌豚!気持ちいいか!?ほら!いい声で鳴け!』

と!お願いしますわ!」
と言う。シモン様の入れ知恵だろう!あの人なんて事させようとしてるの!?

「ダメです!そんな!!」

「二人の時だから不敬ではありませんし、私にはご褒美…コホン、ともかくやってくださらないなら婚約破棄ですわ!今度はお腹に!」
とゴロンと横になりお腹を向け顔を見ると期待した様な瞳でクラクラした。

ううう、婚約破棄はいやだ!!僕はマリアンネ様を好きだし絶対に結婚したい!ようやく想いが通じたのに何でこんな事と思うけど、仕方なく僕は

「一回だけですからね?」
と念を押して、こくこくとうなづくマリアンネ様のお腹に軽く足を乗せた。背中と違い柔らかいので気を使う。ほんの少しだけ力を入れてグリグリさせながら

「この雌豚!気持ちいいか!?ほら!いい声で鳴け!」
と言うと赤くなりながらマリアンネ様が切なそうな顔をして

「ああっ!いやっ!はぁん!」
とめちゃくちゃ可愛い声を出して思わず僕は全身にビリビリきた。
もう無理です!
足を退けて、お腹をさすってあげると、もう終わり?みたいな顔を向けられるが

「もう終わりですから!これ以上は無理ですから!」
と言うとがっかりしたように眉毛を下げられたのにキュンキュンした!
ああああっ!僕だけに見せるこの顔が好きだ!

でも心を鬼にして床から起こす。しかしそこでマリアンネ様の目から何と涙が出てきて僕は慌てた!

「ま、まさか痛かったですか!?」
ど、どうしよう!?やっぱり女の子を踏むなんてしかも婚約者を!
おろおろしているとマリアンネ様は手を組み

「ありがとうございます…。生涯忘れません…」
と涙を流しながら神様にお祈りしている!!

「マリアンネ様!?しっかり!こんな事で神様に祈ってはダメです!」

「ジークフリート様…!これからはストレスが溜まったら私を踏んでもよろしくってよ?」
と言うので

「もう勘弁してくださあああい!!」
と僕は絶叫したのだった。

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