婚約破棄して欲しいならこちらの願いを叶えてください

黒月白華

何で俺がこんな目に!?(コンスタンティン)

 俺はコンスタンティン・フォン・ベッケル。公爵家の次男に産まれた。厳密に言うと側妻の第二夫人の次男というわけだ。何故なら父の正妻の立場にあるのは男だったからだ。

 そう、ベッケル家は男色の家系であり、祖父も代々男性を正妻として、第二夫人か愛人かの間に子を作って来た。なので小さい頃から教えられたのは男性との付き合い方だ。
 勿論それが嫌で逃げ出す兄弟もいたが家系的に遺伝子がそうさせるのか男に惚れる者が多い。
 因みに第二夫人に女児が生まれた場合は…養子に出すと言う徹底ぶり。
 なので幼少期から周りには男達しかいない。家庭教師も使用人も全て男に囲まれていた。しかも本当の母と会えるのは週一で正妻の男親を母と呼ぶように躾けられる。

 そしてもう一つ…天敵同士であるカウン家と対立しており誕生日会などで顔を合わせるカウン家の連中とはバチバチと火花を散らすのだ。

 俺は見目麗しい金髪碧眼の化学教師で女生徒からも人気が高いが…女生徒や女教師には興味が持てなかった。完全にベッケル家の遺伝子が普通にはさせなかった。

 初恋も男だった。

 そして…侯爵家の六男ジークフリート君が入学して来て彼の姿をひと目見て惚れた!!何という美しい生物がこの地上に舞い降りているのか?
 それほどまでにジークフリート君は俺の心を貫いた!サラサラの黒髪に青い宝石の様な瞳…。美しい!!

 それなのに彼には既にあの憎きカウン家の一人娘…銀髪で血のような赤い目を持ち悪魔令嬢と呼ばれるマリアンネ・シュルツェ・カウンと婚約していたのである!!

 くそっ!カウン家に先を越された!!
 こうなったら教師としての立場を利用して無理矢理…いやダメだ!嫌われるしクビにもなる!そうしたら一生会えない!

 何とかマリアンネとの婚約破棄にならないかな?
 と考えていた。

 するとある噂が学園中に広まっていた。なんとマリアンネとジークフリート君がデートをするというのだ!!
 何だとおおお!?あの女!ついに動きやがった!きっと言葉巧みにジークフリート君を騙して?
 しかしよく聞くとどうやらジークフリート君の方から婚約破棄したいとマリアンネに言ったようだがマリアンネの奴が婚約破棄の条件としてデートをしてキュンとさせなければできないと言っている様だった!しかもクリアできなかったらできるまで何度もデートするという…。

 ふざけるな!そんな事させてたまるか!あの悪魔め!と俺は惚れ薬を入手し放課後図書室へと向かうジークフリート君を化学室に呼び寄せた!

 二人で話をするなど!なんと素敵な時間だ!親友の護衛騎士の為に身を引こうとするジークフリート君に感動した!マリアンネめ!絶対に婚約破棄させてやる!そして彼の心を手に入れるのは俺だ!

 ジークフリート君の耳元で惚れ薬を使えと囁く。ああ!急接近で芳しい彼の香り!抱きしめてやりたいが我慢だ!

 ジークフリート君は不正のことを気にしていたが向こうが10個もの条件を出すと言う無茶苦茶をつきつけたのである!不正しろと書いてないのであればしても問題ない!次からは警戒されるであろうが。

 そう言うと彼は薬を使う事に同意した!くくく、何度もデート作戦は阻止させてもらうぞ!マリアンネ!あの悪魔が!!

 *
 俺はとりあえず奴と彼のデートの日を苛々しながら我慢して終わるのを待つ。それから報告に上手くいったと後日言われたがどことなく元気がない様に見えた。
 不正した事を気にしている様だ。そんなの気にしになくていいのに!卑怯なマリアンネの悪魔が悪いのだ!

 そして数日後の放課後…ジークフリート君の方から化学室に訪れると…彼は

「せ、先生…。その…この間の薬のお礼と言ってはなんですが…僕と今度の休日出かけて貰えませんか?兄の誕生日プレゼントの買い出しに行くので…プレゼント選びに付き合ってほしいなと…先生にもお礼に食事でも奢らせていただきたいので…」
 と困った様に言い出す!!

 そそそ!それはっ!紛れもなくででででデートだあーーー!

「そうか、わかった。行こう!!プレゼント選び任せてくれたまえ!」
 もちろんオッケーした!!
 くくくく!マリアンネざまあみろ!
 やった!やったやった!

 食事だけで終わるものか!ジークフリート君と結ばれる大チャンス到来なのだ!私は密かに宿の予約を手配した!準備万端でデート日を待った!

 *
 そして待ちに待った当日がやってきた!!今か今かと待ち侘びるとポンポンと後ろから数人の男達に肩を叩かれた。

 待ち合わせ場所はジークフリート君が外で先生と会うと恥ずかしいからと人通りの無い所にしていたからな。
 なんだこいつら!?
 と睨みつけると

「ウヒョオ!!すげえ色男じゃねえか!!」

「ああっ!堪らんな!!こいつとやれるのか?」

「ゾクゾクするぜ!金も貰ったしさっさと連れてこう!」
 と男達は言い出した!

「なんだお前ら!?一体!俺は人を待っている!失せろ!」
 と言うが男達は筋肉隆々でニヤニヤしながら近づいてくる!

 私はその辺りの棒を拾い振り回して追い払おうとしたが棒を掴まれて引き寄せられ3人がかりでついに布に染み込ませた薬を嗅がさせられる!
 くっ!不覚だった!!
 頭がクラリとして全身が熱くなり男達がいきなり輝いて見えた!?
 うう!なんだ?胸が…キュンキュンしてくるうううう!

 すると男達は俺のポケットに予約した宿屋の住所を見て

「おい!見ろ!高級宿の予約手配が!」

「うひょおおお!有り難えええ!行こうぜそこ!」

「ああ!もちろん!ほら行くぞ!」
 と言う男達にキュンキュンしたら俺は

「はい…行きましょう…素敵なお兄さん達…俺を可愛がってね」
 と目がハートになり思ってもない事を口にしてしまった!!

 そして俺はジークフリート君と使う宿屋に連れ込まれ男達にキュンキュンさせられながら襲われた。

 正気に戻った頃俺は尻穴を奪われ怒りに震えた。男達はご馳走様と言わんばかりに帰っていく。ついでに金取られた!!

「マリアンネの仕業か!あの悪魔め!俺をこんな目に合わせやがって!許さん!!絶対に!!」
 と俺は復讐に燃えた!!


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