俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

御曹司とコスプレの女神【9】

 近くを通っていたスタッフ達も、何事かと思う。そして、気づいたスタッフ達もざわつき出す。

「騒ぎになりますから、控室に案内いただけますか?」

 駿が冷静に声を掛け、芹は眼鏡を掛け直した。

「す、すみません」

 新城堂のフランス支社長で、新城堂でもかなりの上の地位に当たるが、暁と芹に平謝りだ。

「ご案内します」

 控室に到着し、やっと一息つく。スタッフ達には、眼鏡姿の芹が芹奈だと気づかれずに済んだ。

 イベントが終わり、フランスを出るまで気を抜けそうにない。

 無事に帰国できるのだろうか…

 準備をする三人を残し、支社長達は名残惜しそうに退出していった。

「あまり時間もないですし、準備しましょうか」

 控室は、社長のために用意されただけあって、広々とした部屋で、ソファーもあり寛げる。パーテーションで仕切られた着替えの出来るスペースもある。

「暁くんと稗田さん、先に着替えてもらえますか?私、ヘアメイクをしたいので」

「ああ」「わかりました」

 二人が着替えている間に、慣れた手つきでヘアメイクをしていく。

 黄色い髪のウイッグをツインテールして、メイクを施す。

 そこへ着替えた二人が出てきた。タイプの違う長身イケメンがコスプレした姿は圧巻だ。

 暁はタキシードにマント、駿は普段より厳つく見えるスーツ姿だ。

「二人共、とってもお似合いです!私が着替えたら小道具渡しますね。少し待ってて下さい」
 
 パーテーションの裏に消えていく芹を見送り、珍しく駿が口を開く。

「破壊力半端ないな…そりゃみんな大騒ぎだわ」

 前回の幕内メッセでもコスプレ姿を見ているし、ネットの検索で写真も出てきたが、アニメを見たことのある駿が思わず言ってしまうほどの仕上がりなのだ。

「あんまり見るな。俺のだ」

「プッ、余裕ないな。けど、笑ってばかりもいられないな…」

 そして、衣装に着替えた完璧すぎる芹を見て、駿は絶句した…

 暁も、また見惚れている。

「二人共黙ってどうしたの?」

「「…」」

「じゃあ、暁くんはこの仮面つけて。稗田さんはサングラスとインカムを」

 駿は、いつにも増して厳つい完璧なSP風なのだ。

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