俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

御曹司とコスプレの女神【7】

「便利だけど、気をつけないとね。今回実感した。イベントの時は、写真を撮られるのが当たり前になってて、なんとも思わなかったの。その写真がSNSに載ってたりするのも知ってたけど、私自身SNSをしないから、どこまで拡散されてるかなんて気にした事がなくて…」

「そうだな。イベントによっては、撮影自体を禁止していたり、撮影してもSNSに投稿禁止だったり。イベントの宣伝効果を狙って載せてもいいというのもある。さすがにフランスでこんなに知られているのには、驚くな。今まで芹が無事で本当に良かったよ」

 新城堂の御曹司の暁の婚約者の存在に、大騒ぎになると思っていた。そのために対策は考えていた。

 ところが、まさかの芹奈人気。知名度も話題性も、フランスでは芹の方がありそうだ。

 芹のファンがフランスにもたくさんいる。

「芹にとっては、せっかくの初めてのフランスだから、ディナーくらい外に出て食べよう。用心して普段のオフィススタイルでな」

「うん!ありがとう」

 ランチを終えてスイートルームに戻った。

 芹は、明日の衣装の確認をしている。その姿を眺めながらも、暁もパソコンを開き仕事をする。

 ちょこちょこ動く姿が、出会った日に逃げていく姿に重なり、ついつい見てニヤけてしまう。必死に探し、追いかけた日が懐かしい。付き合っても、婚約者になっても、常に心配か尽きない。

 余裕のない必死な自分に驚くが、そんな自分が嫌ではない。嫉妬させる芹すら愛しい。芹自身は、嫉妬させているつもりは全くないのだが、目が離せないのが事実だ。

 フランスに来て、芹の人気が日本だけでないことを知り、焦る気持ちと嫉妬する気持ちと優越感。暁は、明日のパーティーで『俺の芹』だと発表することが楽しみでしかたない。

 日本に戻ったら騒動が落ち着く予定にしていたが、大騒ぎになるだろう。

 新城堂の社長の婚約者の発表が、フランスではコスプレイヤー芹奈の婚約がニュースになるかもしれない。

 そんなことはどうでもいいのだ。

 芹の相手が暁だとアピール出来たら満足だと思っている。

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