俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

新城堂の噂の女神【17】

 実家に入ると全員揃っていた。

 父は通常通り、兄は難しい顔、兄嫁はニコニコ笑っている。

「お邪魔します」 

「さあさあ座って」

「これ、旅行に行ってきたお土産です。みなさんで」

「まあ。こんなにたくさん?ありがとう。芹、旅行はどうだった?」

「素敵な旅館で最高だった〜」

「え〜いいなぁ。私も落ち着いたら行きたい」

 女三人が盛り上がる。

「コホン」兄のわざとらしい咳払いで一旦静かになった。

「で?今日は何のようだ?」

「はい。お義父さん」

 暁は姿勢を正し、話を振ってきた兄ではなく、父親に視線を向けた。

「はい」空気で何を言われるか感じたようだ。

「芹さんと交際して、まだまだ時間的には短いですが、心の繋がりと相性は間違いないと確信しています。時間ではない絆を信じて、芹さんと結婚させていただけないでしょうか。お願いします」深く頭を下げた。

 一同、思っていたより丁寧な挨拶に、呆気に取られる。

「新城さん頭を上げてください」

 父の言葉に、暁は頭を上げる。

「新城さん、芹をよろしくお願いします」

 今度は、父が頭を下げた。

「父さん!?」剛が声を上げる。

「ありがとうございます」

 すかさず暁も頭を下げる。その横では芹も頭を下げた。

「おめでとう芹」母が優しい声でお祝いを口にした。

 この状況に「はぁ〜」と剛は大きな溜息をついた。

「剛も分かっているだろう?お前の中の新城さんは若かりし頃のものだ。年齢と共に心も成長する。特に新城さんは、重責ある仕事に就いてるんだ。我々の何倍もの苦労をされてる」

「ああ、昔とは全く違うことはわかる…」

「私も、今の新城くんなら信頼出来ると思う。あの頃新城くんを追いかけていた子が、今の新城くんを見たら大騒ぎしそう。芹ちゃんも、モテる旦那を持つと大変ね。芹ちゃんおめでとう」

「ありがとう」

 この後、芹の指輪に気づいた母と義姉に大騒ぎされた。

 もう少し難航するかと思えた芹の実家での挨拶も、無事に終えた。

 後は、世間に発表して全て解決させるのみ。

 暁は突き進む。

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