俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

新城堂の噂の女神【16】

 翌朝、遅めの朝食をお部屋でいただき、チェックアウトぎりぎりの時間までのんびりと過ごした。

 従業員一同に見送られ旅館を後にする。

「新城様、またのお越しをお待ちしております」

「またお邪魔します」

 日に日に優しくなっていく暁は、芹からいい影響を受けているのだろう。

 仕事では厳しく私生活では自分らしくが理想だが、今までの暁は、仕事でも私生活でも隙がなく、恐いイメーがついてしまっていた。

 だからといって、芹以外の女性を近づけるつもりはない。

「さあ芹、お土産を買って寄るところがあるから行こう」

「えっどこに?」

「着いたらわかる」

 途中、お土産をたくさんの購入する。芹には、誰に渡すか全くわからないまま、これとこれはどっちがいいか?と何度も聞かれた。

 車が高速を走り出すと、寝不足気味の芹がうつらうつらする。

「着いたら起こすから寝てていいぞ」

「うん…」

 すぐに寝てしまった。横で眠る可愛い彼女の存在を感じながら、車は彼女の実家に向かい突っ走る。

「芹、芹。着いた」

「えっ!」

 寝ぼけ眼で辺りを見回すが、長年住んでいた見慣れた実家の前にいることに驚く。

「???」

 寝起きの鈍った意識の中で、なぜここにいるのか考えるが全くわからない。

「降りよう」

「なんで実家?」

「ご両親に結婚のお許しをもらうために来たんだ」

「えっ早っ」思わず声が出てしまう。

 ここで、ニヤリと俺様御曹司が登場する。

「何事も、迅速かつ完璧にしないとな。行くぞ」

「はい」

 母は大喜びしそうだが、父と兄は…兄が留守だといいのにと思ってしまう。

 『ピンポン』と鳴らした瞬間待っていたように玄関が開いた。

「待ってたわよ。いらっしゃ〜い」

 テンション高く母が現れた。

 そこで芹は、ん?と思う。待っていた?知ってた??

「芹、どしたの?」

「えっ、私達が来るの知ってたの?」

「知ってたわよ。昨日剛から聞いたから」

 芹は、そ〜っと隣にいる暁に視線を移した。視線に気づいて、ニヤリと笑ったのがわかる。完全に暁の手のひらで転がされているが、嫌じゃない自分がいる。

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