俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

新城堂の噂の女神【9】

 念には念をと、マンションからは時間差で別々に出た。芹より後に出ても、車が先に着く。

 芹が飲み物を買って車に乗り込む。周辺を気にするが怪しい車や人影はない。悪いことをしているわけではないが、騒ぎになるのを避けるためには仕方ない…

「おまたせしました」

「歩かせて悪かったな」

「全然。健康のためにも歩かなきゃ」

「じゃあ行くか」

「うん。楽しみ」

 一泊のプチ旅行に芹のテンションは上がる。彼氏とデートも初めてなら、彼氏と旅行など考えたこともなかった。

 もうすぐフランスにも連れて行ってもらえるし、堂々とコスプレができる。

 フランスなら人目を気にせずコスプレが出来ると張り切る芹だが、実際は…

 車は、高速に入り、都会からは離れていく。窓の外を眺めて、目についた物に反応していく芹が可愛くて、運転しながら触れたいのを我慢する。

「次のサービスエリアで休憩するか?」

「うん。運転疲れてない?」

「全く。芹といると退屈しないし、疲れを感じないよ」

「それなら良かった!」

 サービスエリアに来る機会のない芹は、たくさんの食べ物が売っていることに驚く。

 小さい頃の記憶では、トイレに長蛇の列ができていたイメージだが、今は何もかもが綺麗で、コンビニまで併設されている。

「お土産は明日にして、なにか今食べたいものはないか?」

「ソフトクリームが食べたい」

「買ってくるから、ベンチに座ってて」

 暁自ら買いに行ってくれた。颯爽と歩く姿は、やはり周りの注目を集める。

 暁に気づいた女性からは、イケメン!芸能人?など、口々に呟いている。まさか、誰も新城堂の御曹司だとは思わないだろう。知ったら大騒ぎになりそうだ。

 暁に視線を向けてベンチに座っていると、近くから「ねえねえ」と男性の声がした。

 まさか、自分に話しかけられているとは思いもしない芹は反応しない。

「何で無視するの?ねえ!」

 肩を叩かれ初めて気づいた。

「私ですか?何でしょう?」

「一人?」

「いえ」

「女友達?だったら、一緒に食事しない?」

 サービスエリアで食事しない?も可笑しな話だが、ハッキリ断らないとしつこそうだ。

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