俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

新城堂の噂の女神【6】

 ただ、社内ではまだ女神の噂と、芹を探す男性社員は存在する。

 週刊誌の記者にも常に狙われている。

「マンションの住人から苦情が入ってるそうだ。ただ、あのマンションには狙われてもおかしくない人ばかりが住んでいるから、暁を狙ってるかはわからない」

 高級なタワーマンションは、有名人著名人もたくさん住んでいる。狙いが暁だとは限らないのだ。

「芹が一人で出入りするのが心配だな」

「確かに。車じゃないし、若い女性は話しかけやすい」

「どうにかしないと…」

 暁は芹のこととなると、極度の心配性になる。

「そういえば、来月のフランスでのパーティーはどうする?」

「来月?ああ!!」

「お前まさか忘れて…」

「すまない。忘れてた…」

 先日のゲームソフトが日本、アメリカと順に発売され、次はフランスで発売される。

 フランスでは、日本のアニメやゲーム人気が高く、今回のソフトの発売に合わせコスプレパーティーが企画されているのだ。
 
 フランスの支社長に、本社の社長の暁にも出席してもらいたいと、連絡が入っていた。普段なら辞退も考えるが、バグの件もあり出席することにしたのだ。

「フランスだとパートナー同伴が常識だよな?」ニヤニヤしながら言う。

「まあ、パートナーがいるに越したことはないな」

「しかも、よく考えたらコスプレだぞ?」

「まあ、成宮さん以上に完璧な人はいないでしょうね…」

「だよな」ニヤニヤが止まらないようだ。

「でも、成宮さんの存在を知られたら、新城堂の女神と結びついてしまうぞ?」

「ああ。フランスに行く前にプロポーズするわ」

「…はあ!?」

 一瞬暁が何を言っているのか、理解できなかった。

「何を驚いてる?遅かれ早かれ、俺は芹と結婚するんだ。絶好のタイミングじゃないか?」

「タイミング?」

「ああ、フランスで仮装パーティーがある。パートナーが必要だ。新城堂の女神が噂され、週刊誌にも狙われている。更には、芹を探す奴らがいる。全てが一気に片付く」

「そうは言っても、それなら課題もあるぞ?」

「なんだ?」

「成宮さん本人にオッケーをもらうことはもちろん、成宮さんの実家でも承諾をもらわないと、大々的に発表してから反対だと言われたら大変だ」

「わかってる」

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