俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

新城堂の噂の女神【1】

 香田社長が新城堂に現れ、たまたま通った芹が話しかけ、更には新城社長と秘書の稗田までがエントランスに現れる事態となった出来事が、たくさんの目撃者がいたため、新城堂オフィスビル内で噂になっている。

 あの時は、バグの問題で精一杯で後の事は考えていなかった。

 特に噂の的になっているのが、あの女性は誰?だ。

 あの時、芹を見た男性社員数人が、タイプだったと探し始めたのだ。

 芹は、あの時は断れなかったが、一緒にエレベーターに乗ってしまったことで、警戒していた。

 翌日から違うイメージになるように、姿を変えていた。

 その警戒が正解だとわかったのは、数日後だった。退社時間になると、毎日不自然にエントランスに居座る男性社員がいるのだ。

 バレないようにと、更に警戒心を強める。

 更にはどこからか、新城社長には女神がついていると噂になっている。

 最近の暁の雰囲気が以前のクールで俺様から、無意識だが少し表情が優しくなっているからかもしれない…

 今回のことで、重役達に芹の存在を知られたのは事実だ。新城の危機を救ってくれた芹への評価は高い。

 重役達から、二人のことがバラされることはないだろうから、どこからの情報かはわからないが、全くのデマでもないので不思議だ。

 あのまま販売していたら、香田社長が間に合わせてくれなければ…

 冷や冷やした一ヶ月を乗り越えて、ホッと一息つけた。

 一つの仕事が一段落しても、もちろん仕事に終わりはない。だが今は少しでも芹と一緒にいたいと、仕事を終わらすために必死の暁だ。

「駿、もうすぐ定時だな?」

「はあ?定時って何だ?」

「新城堂には定時が決まっているだろう?」

「はあ…」突然の暁の発言に何が言いたいかわからない。

「俺も定時で帰りたい」

「おまえっ!?何言ってんだ?」

「急ぎの仕事は終わらした」

 確かに、今日の急ぎの仕事は終わっている。いつも以上に集中して仕事をしていると思っていたが、そういう事だったのか…

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