俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

ピンチを救う女神【12】

 社長室に着きソファに座った途端、源ちゃんから香田社長に変わる。

「本題に入ろうじゃないか」

「はい」

「今日には終わってるはずじゃなかったか?」

「すみません」

「謝罪はもういい。発売日をずらすのか?」

「それは出来ません」

 暁と香田社長の睨み合いは続く。

 全く状況がわからないまま連れて来られた芹がポカンとしている。近くにいる駿に小声で聞いてみた。

「これはどういう状況ですか?」

「先日のゲームのバグのデバッグを、今日の午前中には終わらせる予定だったんです。それが長引いていて…」

「それと源ちゃんはどう関係してるんですか?」

「香田社長は…」企業秘密なので、簡単には口に出せない。

「芹がバグを見つけたんだ。知る権利はあるだろう」

 先程まで香田社長と睨み合っていた暁がこちらの話に入ってくる。

「芹奈ちゃんが見つけたのか?大したものだ」

「芹、今回のソフトの製造をしてくれるのが、香田社長のところなんだ」

「えっ?そうなの??源ちゃん遅れて大変だろうけど、よろしくお願いします」

「あ、ああ」

「香田社長、ありがとうございます」

 すかさず暁もお礼を言う。芹にお願いされたら断れないだろう香田社長を一瞬で見抜いた暁は、やはり経営者としてやり手なのだろう。

「チッ」と小さく芹に聞こえないように舌打ちをしている香田社長の姿を駿はしっかり見逃さず苦笑いするのだった。

 『コンコン』

 そこへ、社長室の扉がノックされた。

「はい」

「失礼します」

 入ってきたのは、新城堂の開発担当者の峰と名取だった。

「「香田社長」」

 二人は香田社長の姿に声を上げ驚いている。

「どうした?」

「あっ、完成しました。修正できました」

「「本当か!?」」

「はい」

「香田社長!!」

「ああ、急いで製造に入る」

「源ちゃんありがとう」

「「げ、げ、源ちゃん!?」」

 芹と香田社長を交互に見てから、峰と名取は説明を求めて駿を見る。

「成宮さんと香田社長は、お知り合いだったんです」

「…」

「源ちゃんなんて呼ぶほど親しい友人なんですね…」

 名取は芹と暁の関係まで知っているが、峰は芹のことすら知らず、ポカンとしてしまう。


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