俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

ピンチを救う女神【11】

「わざわざ遠いところ、御足労いただきありがとうございます」

「今日の午前中には連絡があると思って待っていたが、音沙汰がなかったからな。ギリギリまで粘ったが、我慢できなくてやってきたんだ」

「「すみません」」

「あの〜」この状況で芹が口を挟む。

「どうした?」

「凄く目立ってます…」

 芹の言葉に目を向けると、たくさんの野次馬がいた。

「場所を移しましょう。成宮さんも来てください」

「え"」

「芹奈ちゃんも一緒について来てくれ」

「「!?」」

 怒鳴られる覚悟で下りてきた二人は、芹を芹奈と呼び、ご機嫌の香田社長に驚く。しかも、芹は香田社長を源ちゃんと呼んでいるではないか…

 芹は、周りの視線を集めている状況にいたたまれない。救いは、シンジョーテックでの芹ではなく、私服に着替えていたことだ。

「あんな子うちの会社にいたか?」

「誰だ?」

「俺タイプ!」

 たくさんの声が聞こえ芹は俯き、暁は周囲に睨みを効かせる。

 エレベーターに乗り込んだ途端、口を開いたのは香田社長だった。

「先日のイベントに行ったら、芹那ちゃんがいなくてガッカリしたんだ。だから、今日まさかここで出会えるなんて嬉しいぞ」

「源ちゃんゴメンね。用が出来て途中で帰ったの」

 言いながらも暁を見る。そう、あの時は暁に連れ出されたのだから…駿も暁に視線を向けている。

「あの〜」

「何だ?」

「お二人の関係は?」

「芹奈ちゃんと儂か?」

「はい」

「儂の愛する女性だ」

「はあ?何を言ってる、芹は俺のだ」

 ここで暁が口を挟む。いくら香田社長でもこればかりは譲れない。

「何だと!?まさかの儂の大事な芹奈ちゃんが、新城のボンの毒牙にかかっているなんて…お主女性に興味がなかったんじゃないのか?」と肩を落とす。

「はあ?どこの情報だ!?」

「お主の親父さんもいつも心配していだぞ」

「今まで芹に出会ってなかったからだ」

「フンッ。儂の方が、芹奈ちゃんとの付き合いは長いんだ」大人気おとなげなく呟く。



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