俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

ピンチを救う女神【1】

 無事?なのかは微妙だが、両家への挨拶は済ませた。

 新城家では大喜びされ、成宮家では今後の暁次第な話で、同棲は始まった。

 客室だった部屋が芹の部屋になり、以前芹のマンションにあった荷物は、引っ越し業者により綺麗に片付けられている。

 芹と暁が実家に挨拶に行っている間に、引っ越しから解約まで、駿によって全てが終わっていた。

 芹の部屋はあるが、寝室は暁と一緒。これが、暁が絶対に譲れない条件だ。

「稗田さん、何から何までありがとうございました」

「とんでもない。ところで、成宮さんのご実家での反応はいかがでしたか?」

「それが…」

「まさか、反対されたんでしょうか?引っ越しは終わってしまいましたが」

「同棲は、私のストーカー騒動で暁くんにお世話になるのが安全だと父が…」

「じゃあ何が?暁?」

「…」暁は若干ムスッとした表情で黙り込む。

 駿は、訳が分からず視線を芹に戻した。

「稗田さんは、大学の時のサークルにいた、成宮剛を覚えてませんか?」

「成宮剛…あっ!」

「ご存知なんですね」

「まさか?」

「はい。兄なんです」

「プッアハハハハッ。なるほど、大学時代の暁を知っていて、反対されたと?」

「まあ…結局は、今後の暁くん次第なんですが」

「成宮さん。お兄さんの気持ちは痛いほどわかりますよ」

「駿!!」

 今まで黙っていた暁が声を上げる。

「暁、自業自得だろう?成宮さんに出会うまで、女性に対する態度は褒めれたもんじゃなかった。地道に信頼を取り戻すんだな」

「わかってるよ」

「俺が一番心配だったブラコンの璃々ちゃんが、成宮さんに懐いているのが奇跡だよ」

「璃々ちゃん美人さんですよね。あれから、マメに連絡くれるんです」

「はあ!?璃々と連絡取っているのか?」

「えっ?ダメなの?」

「ダメではないが…」複雑な表情になる。

「成宮さん、気にすることありませんよ。自分の妹にヤキモチ焼いてるだけですから」

「駿!」

 図星をつかれ慌てる姿は新鮮で面白い。駿は、未だに暁の今の姿が信じられない。

 暁がこんなに女性の一挙手一投足で、慌てふためく姿が見れるなんて、夢を見ているようだ。

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