俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

甘々同棲生活【11】 《side 芹》

《side 芹》

 暁くんの実家に持っていく手土産は、妹さんの好きなメロンケーキになった。

 予約したケーキを取りに寄ったホテルで、腰を抜かしそうになる。ショーケースに並ぶたくさんの美味しそうなケーキ。どれも、高級ホテルだけあって、びっくりするお値段だが、その中でもメロンケーキは飛び抜けていた。

 『メロンケーキ 1ピース3500円』

 1ホールではなく1ピースの値札に間違いじゃないかと思ったが、暁は平然としている。

 妹さんは、稗田さんによれば、かなりのブラコンだという。お兄ちゃん大好きの妹さんには受け入れてもらえるのだろうか…

 ケーキを受け取り向かった実家は、予想を裏切らない、いや芹の予想を遥かに超える豪邸だった。

 新城堂の創業者一族なのだから、当たり前だが、セレブという言葉がぴったりだ。

 出迎えてくれた暁くんのお母様は、今風のファッションを着たスラッとした美人で、素敵な人だった。

 お父様も優しく、ご両親共に歓迎してもらえた。

 昼食は、ご自宅に板前さんを呼んで、リビングにあるカウンターで握ってもらうという。庶民には、回っていないだけで贅沢なのに、自宅で握ってもらうなんて、信じられない。

 板前さんが、準備で出入りしている間に、妹さんが帰ってきた。

 リビングの入口付近に立ち止まり、目を見開き口をポカンと開けた大学生には見えないスラッとした迫力のある美女が驚きの表情で突っ立っている。

「璃々、そんなところでマヌケな顔して突っ立ってどうした」暁くんが声を掛けても無反応だ。

「璃々?」お母様も声を掛けた。

 ハッとした妹さんが私の前まで来た。

「せ、せ、せ」私を指差し震える声で言葉を発するが後が続かない。

「えっ?」

「せ、せ、芹奈様〜」

 言い切ったと同時に抱きついてきた。小柄な私はすっぽりと包まれた。妹さんからは、大人っぽいいい匂いがした。

 そこからは、兄妹ゲンカが始まった。理由はなぜか、私の取り合い?

 ブラコンのはずが、意外な展開になってしまった。

 『璃々ちゃん』『芹ちゃん』とお互い呼び合うことになり、仲良くできそうだ。

 連絡先も交換して、女子会をしようと話している。

「俺も行く」と暁くんが言い出した時には、ご両親が爆笑していた。

 私にも兄がいるが同性の姉妹はいない。璃々ちゃんの方が大人っぽくみえるが、姉のように慕ってくれて嬉しい。

 ブラコンの妹さんに嫌われたらどうしようと心配していたが、まさかのコスプレの芹奈のファンだったことが意外で嬉しかった。

 緊張の連続だったが、新城家に受け入れてもらえた。

 無事、ご挨拶出来てホッと一安心。

 次は私の実家だが、父よりも兄がなんと言うかが気になる。

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