俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

甘々同棲生活【8】

「それで、これはどういう状況?」

「兄さんが芹奈様を独り占めするからでしょう?」

「お前、人聞きの悪い言い方だな。元々俺の彼女だ」

「ぎゃ〜、芹奈様が兄さんに穢される〜」

「璃々、あなた暁の彼女に会いたくないって言ってなかった?」母が思わず口をはさむ。

「まさか、芹奈様だと思わなかったんだもん。でもよく考えたら、私のお姉様になるってこと?」

「そうね。暁が芹さんに振られなければ…」

「兄さん、しっかりしなさいよ!」

「はあ?当たり前だろう?芹は絶対に離さない」

「ん"ん"っ」今までことの成り行きを見守っていた父親が咳払いする。

「お父様どうしたの?」

「さっきから、訳がわからなくてな。暁は芹と呼ぶが、璃々は芹奈様と言う。どうなってるんだ?そもそも璃々は芹さんを知っているのか?」

「お父様は知らなかったわね…」思わず母親を見る璃々。

 母も苦笑している。こうなったら仕方がないと腹を括る。

「私の趣味の話はお父様にはしてないわよね?」

「?ああ…」

「私は、ゲームやアニメが好きなの。だから、大学も情報学部に進んだの」

 実家が新城堂だからというわけではなかったらしい。

「ああ」

「お母様は知ってるけど、ゲームやアニメのイベントに参加するのに、コスプレをして行くの」

「…」聞いたことも見たこともないから想像できず戸惑っている。

「イベント会場で、カリスマ的存在のコスプレイヤーがいるの。みんなその人と写真が撮りたくて」

「まさか?」

「そう。そのまさか。芹奈様、本名は芹さんって言うのね。芹お姉様がそのカリスマコスプレイヤーだよ。私の憧れの人。まさか女っ気のなかった兄さんが芹奈様を連れてくるとは…びっくりよ」

「母さんは知っていたのか?」

「璃々のコスプレ好き?もちろんよ」

「「…」」知らなかったのは暁と父親だけだったようだ。

「じゃあ、璃々も芹さんのことは反対じゃないんだな?」

「反対どころか、私がほしい…」

「はあ?寝言は寝てから言え」

「芹お姉様、振るなら今のうちよ」

 すっかり芹の味方の璃々。


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