俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

甘々同棲生活【5】

 その中でも、一際背の高い真っ白な塀に囲まれた豪邸の前で暁が車を止めた。

「えっ!?」

「ん?」

「まさかここですか?」

「ああ」

 当たり前のように返された言葉だが、芹にとっては未知の世界に踏み入れる瞬間なのだ。

 防犯カメラで認識したのか、自動に開く門。車が中に入ると後ろで自動に閉まっていく。

 門からお屋敷までは少し小高くなっていて、お屋敷横が駐車場になっている。数台の車の横に迷うことなく止めた。

「着いたぞ」

「う、うん」バクバクする心臓。

 暁のエスコートで玄関まで辿り着いた。

「おかえりなさい」

 中からスラッとした女性が出てきた。

「ああ。芹、お袋」

「えっ!?」

「何驚いてる?」

「すみません。あまりにもお若く見えて」

「まぁまぁ。お世辞でも嬉しいわ〜」

 見た目のイメージと違いキャッキャしている。新城堂の元社長で現会長の奥様となると、勝手に和服を着た厳しい女性のイメージを持っていたが、目の前の暁の母親は、流行りのファッションに身を包み、明るく楽しそうな女性だ。

「さあさあ入って」

「はい。お邪魔します」

「こっちよ〜」

 暁を置き去りにし、芹の手を引きグイグイと中に入っていく。玄関の広さも驚いたが、廊下も階段も何もかもがとにかく広い。家の中で迷子になりそうだ。

 案内されたリビングは、これまた驚くほど広く、大きな窓の外には広大なお庭が広がっている。

 お庭が見えるように並べられたソファー。そして、グランドピアノが部屋の真ん中に置かれているが全く圧迫感を感じさせない。

「いらっしゃい」

 リビングのソファーから立ち上がり出迎えてくれたのは、暁によく似たお父様。お似合いの夫婦だ。

「はじめまして。成宮芹と申します」

「そんなに固くならないで。芹さんとお呼びしてもいいかしら?」

「はい」

「私達は芹さんに感謝してるのよ」

「はあ…」

「芹さんに出会わなければ一生独身で、孫さえも見せてもらえなかったわ」

「璃々がいるじゃないか」

「そんな問題じゃないの。あなたは一応長男なのよ」

「一応って…」

 俺様と言われる暁がタジタジだ。貴重なものを見た気がする。

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