俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

甘々同棲生活【4】

 遅刻騒動があった週末、朝から芹は服装に悩んでいた。

 芹のマンションでは、駿の立ち会いのもと引っ越し作業が始まっている。搬出から搬入まで全て駿が見届けてくれる。

 そして、芹は今から暁の実家に挨拶に行く。交際と同棲の報告で、明日は芹の実家に行く予定になっている。

 初カレなのだから、彼氏の実家に行くのももちろん初めてなのは言うまでもない。暁の実家への手土産は、妹さんの好きなメロンのケーキをホテルで予約した。値段を聞いた時には、あまりの高さに信じられなかったが、新城堂の創業者一家なのだから庶民とは感覚が違うのも頷ける。

 そんな家庭に受け入れてもらえるのだろうか。妹さんはブラコンだから気をつけるようにと駿に言われたが、どう気をつければいいのだろうか…

 清楚に見えるワンピースを着て、控えめな化粧にした。

「暁くん、どう?大丈夫?」

「ああ。今日も可愛い」

 日々暁からは、甘い言葉が囁かれるが、まだまだ慣れない。

 早めに出てケーキを受け取りに寄った。誰でも知っている高級ホテルの一階のカフェにはメロンの他にもたくさんのケーキが並んでいるが、メロンのケーキは輝いてみえる。

「新城です」

「新城様、いつもありがとうございます。御準備出来ております」

「ありがとう」

 大きい箱を受け取り、そのまま車に戻った。芹は疑問を口にする。

「あの、お支払いは?」

「ああ、後でまとめて請求がくる」

「えっ?私が用意する手土産のはずだけど」

「言わなければ誰が払ったかなんてわからない。わざわざ買いに寄った気持ちだけで十分だ」

 御曹司の生活は、庶民からは謎がいっぱいだ。今度、何か直接支払いがある時には必ず払おうと、心に決める。暁とは、ゲームやアニメは気が合うが、金銭感覚だけは一生合わないだろう…

 ホテルから車を走らせること二十分ほどで、誰もが知る高級住宅街に入った。

「もうすぐだ」

「は、はい」緊張が最高潮に達する。

 外の景色は、どこまで続くのか個人宅とは思えない塀が見えている。


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