俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

甘々同棲生活【3】

 翌朝鳴り響く電話。

 駿は、エントランスに現れない暁に、嫌な予感がした。何度鳴らしても呼び出し音がなるだけの暁のスマホ。昨夜から仕事部屋に放置されている。

 次に、コンシェルジュに頼んで内線を鳴らしてもらう。

 リビングと寝室で鳴るが爆睡しているふたり…

 駿は部屋に入れるが、寝坊しているだろうふたりに、突撃して大丈夫なのだろうか…

 ダメ元で芹に掛けてみて、出なければ部屋まで行くしかない。先日、念の為と聞いておいて良かった。

 『トゥルルル〜トゥルルル〜』何度か鳴り諦めかけた時だった。

「は、い」掠れた声の芹が出た。

「成宮さん、おはようございます」

「…おはようございます」寝惚けた声だ。

「出勤時間になっても暁が現れなくて、何度も電話しているのですが、全く出ないのでこちらに掛けさせていただきました」

「えっ!?ええっ!?今、何時?暁くん!」

 電話の向こうでは慌てている姿が想像できる。

「落ち着いて下さい。暁に代わっていただけますか?」

「はい!暁くん!暁くん!」

「ああ?」不機嫌な声が電話の向こうから聞こえる。

「出勤時間を過ぎていますが?」

「はぁ〜休む」

「何言ってるんだ?今日も予定が詰まってる。三十分待つから降りて来い」

「はぁ〜休みたい…」

 今まで、休みがなくても文句一つ言わなかった暁が、休みたいほど芹に執着しているようだ。良くも悪くも紙一重な気がする…

 きっちり三十分後、気怠げだが色気がダダ漏れの暁がやってきた。駿は何事かと驚く。

「何かあったのか?」

「ん?ああ、ストーカーは解決した」

「そ、そうか」

「引っ越しは予定通り頼む。これ」

 駿が手を出すと芹のマンションの鍵が落ちてきた。

「無理やりじゃないよな?」

「あ"あ"?」

「いや、確認だよ。同意の上ならいいんだ」

「週末お前が引っ越ししてくれてる間に、芹を実家に連れて行ってくる」

「えっ!?正気か?」

「おかしいか?」

「いや、親父さんもお袋さんも喜ぶよ。でも…」

「なんだ?」

「璃々ちゃんは大丈夫か?ブラコンだから…」

「あいつも大学生だしそろそろ兄離れが必要だろう?」

「まぁ…」

 事態は意外な展開をみせる。

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