俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

ダブルストーカーの行方【9】

 突然のことに驚く暁と、ドキドキする芹。

「何かあったのか?」

「おかえりなさい。ううん。何もないよ?」

「気になることがあるんじゃないか?口に出して言ったら解決するかもしれないぞ?」

「うん…大したことじゃないの。笑わないでくれる?」

「あ、ああ」何を言われるのか気が気じゃない。

「旬くんにドキドキキュンキュンとしないの…」

「…」ポカンとしている。

「暁くん?」

「あ、ああ。旬くんって、アレだよな?」

「ハピカレの旬くんだよ。旬くんにドキドキしないのに、なぜか今ドキドキしてる」

 暁に抱きつき顔を上げて、上目遣いで爆弾発言をする。

「…芹」

「ん?」

「わざとなのか?」

「何が?」

「無自覚で俺を煽ってるのか…悪い子だな」

 言いながらも暁のニヤケが止まらない。

「えっ?暁くんには理由がわかるの?」

「ああ」

「何で?何で旬くんにドキドキしないの??」

「ブッククククッ」嬉しさで笑いが我慢できなくなった。

「笑わないって言ったのに〜」口を尖らせるがそれすらも可愛い。

「芹は、二次元のドキドキしか知らなかっただろう?」

「う、うん…」

「実際にリアルで抱きしめあったりキスしたり、二次元じゃわからない温もりを知ったからじゃないか?」

「…」

「まだわからないなら」

 理解していない芹のせいにしつつも、可愛すぎる芹に我慢できなくなった暁はキスをする。

 軽い口づけからだんだんと濃厚になる。

「んっ」鼻に抜ける色っぽい吐息が漏れる。

「ダメだ。このままならすぐにでも、押し倒してしまいそうだ。帰ってからのお楽しみにして、芹のマンションに行かないとな」

 何とか理性を総動員して我慢した。

「さっさと行って片付けて来よう」

「うん。ありがとう」

 暁の運転する車に乗り込み、芹のマンションを目指した。

 マンションの一角にある来客用の駐車場に車を止めた。芹が助手席から降りた時だった…

「芹奈ちゃん」

 暁を気にすることなく男が声を掛けてきた。

「誰だ?」

「お前こそ誰だよ。俺たちから芹奈ちゃんを奪ってやつだな」

 完全に暁を敵認定している。


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