俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

ダブルストーカーの行方【2】

「私の住まいじゃないので無理です」

 濁していたら欲求が増して行きそうで、そこははっきり拒否を示した。

「役に立たないわね。本当に暁様と関係ないわよね?」
 
 やはり疑われてはいるようだ。このまま解放してもらえるのだろうか…

「疲れてるので帰っていいですか?」

「何?都合が悪くて逃げるの?」

「…」何を言っても墓穴を掘りそうで思わず黙ってしまった。

 ここは、エントランスに続くマンションの敷地内だ。当たり前だが、エントランスに入る車が通る。今も一台の車がエントランスに向かって入っていった。

「ちょっと何か言いなさいよ」

 先程までより声を荒げだし、怖くなってきた。これが本来の花澤の姿なのだろう。

 そこへ…

「何してる!?」

 暁がエントランスから走ってきた。暁の後ろには駿の姿も見える。

「きゃ〜暁様。私に会いに来てくれたの?」

 なんてお目出度い思考の持ち主なのか、芹に詰め寄っていた姿からは一変、今にも暁に抱きつきそうだ。
 
「お前、ここの住人じゃないだろう?」

「それはっ!」咄嗟に言葉が出ないようだ。

「朝もここにいたのはお前か!?」

「…」

「ここは、マンションの敷地内だから、カメラに証拠が残っている。だんまりを決め込んでも無駄だ」

「わ、私は入社した時から暁様が好きなんです!秘書課に行きたかったのに、新城堂の秘書課は男性しか配属されない。だから、私は新城堂の顔の受付に配属されたんですよね??」

 どれだけ自分に自身があるのか、ある意味感心するが、今の状況で笑ってはいられない。

「そもそもどうして俺がここに住んでいることを知っているんだ?」

「それは…」

「駿、このマンションの防犯カメラの映像は一年保存されてるんだったな」

「ええ」

「調査を依頼しといてくれ」

「そんなっ」

「もう少しエントランスに近かったら、不審者と認定されて通報されていたのに残念だ」

「そうですね。幸か不幸か、マンションの敷地のギリギリで、通報まではされなかったんですね」

「新城堂の社員が逮捕なんて体裁が悪いから、先に退職届を出してくれ。嫌なら懲戒解雇にする」

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