俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

秘密の関係【1】

 週が明ければ、また一週間が始まる。濃い週末を過ごし、未だ現実とは思えないが新城堂すぐのタワーマンションからの出勤だ。

 暁は、タワーマンションのエントランスに運転手付きの車が迎えに来て、目と鼻の先の新城堂の地下駐車場まで車移動だ。

 芹も乗っていくか?と聞かれたが丁重にお断りした。駅よりも近いビルまで車に乗る意味がわからない。一般的な考えだと思う。

 だが、暁が近くでも車移動する理由があるらしい。

 先ずは、警備の問題だ。一般人よりは、顔が知られ狙われるかも知れない。可能性を減らし用心するに越したことはない。

 次は、社のイメージだ。世界的な企業の社長が徒歩で出勤では体裁が悪い。やはり上に立つ人間として、憧れられる存在を意識している。

 他には、朝から社長が徒歩で現れると、社員たちにいらぬ気を遣わせる。

 歩く方がスムーズに着くかもしれないが、車で出勤しているのだ。しかも、その五分程も無駄にしないように、朝、車の中で駿からスケジュールを聞き確認する。
 
 本来のクールな新城堂の社長である暁の本来の姿は、芹の前では見られない。

「いってらっしゃい」

「いってきます。チュッ」

 芹にキスをして玄関を出た。

 誰にも見せないプライベートは甘々なままだが、スーツを着て玄関を出ていく瞬間切り替える。

 タワーマンションのエントランスには、運転手と駿が待つ。

「「おはようございます」」

「ああ」

 軽く返事をした後、後部座席に乗り込む。駿が助手席に乗り込み走り出す。

 そして、その姿を見ている女性が…

 車の中では、駿がなんの前触れもなくスケジュールを読み上げる。それを黙って聞いている暁。メモをするわけでもなく、聞いているだけで頭に刻み込んでいる。

 一通りのスケジュールの確認が終わるタイミングで、車は新城堂の地下駐車場に到着した。駿が降り、後部座席のドアを開け降りた暁と共にエレベーターを目指す。

 寸分の無駄もない、いつもながらの光景だ。


コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品