俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

彼のプライベート【3】

 スーツケースを玄関で開け、必要なものを取り出した。スーツケースを移動する場所もわからないので、一旦閉めて元の位置に戻す。

 綺麗に掃除された洗面所から続く広々とした浴室。ホテル並みのアメニティが並べられ、全てに高級感が漂う。

 化粧も落とさず寝てしまった芹は、丁寧に化粧を落としマッサージする。快適な浴室に緊張より興奮してしまう。
 
 芹が快適な気分でシャワーを浴びている頃、目覚めた暁は焦っていた。

 目覚めると見慣れた寝室。記憶の中では、限界までゲームをしていた。意識が朦朧としてきたので眠りについたのだが、芹を寝かしていた寝室に無意識で来ていたようだ。そして、寝かしたはずの芹がいない。

 そこまで思い出し飛び起きた。寝室を出て玄関を見るとスーツケースはそのままだ。リビングにいき探すが、芹の姿はない。広い部屋を片っ端から開けていく。もちろん居るはずのない仕事部屋まで開け放ち、最後に辿り着いたのが浴室だ。

 扉を開けると芹が浴室から真っ裸で出てきた所だった…

 お互い何が起きたのかわからない状態でポカンと見つめ合う。

 次の瞬間…

「きゃ〜」と悲鳴のあとその場にしゃがみ込み小さくなる芹と、芹の裸を見て戸惑いつつも興奮し身体が反応する暁。

「タ、タ、タオルを下さい」手だけを差し出し叫ぶ。

「あ、ああ」

 動転しながらもバスタオルを芹の上から掛け包み込む。が、無意識にそのまま芹を抱きしめた。

「し、し、社長」

 動転しすぎて、呼び方が社長に戻ってしまう。

「芹、すまない。もう我慢できない」

「え!?」

 戸惑いの声を上げた時には、バスタオルで包み込まれたままお姫様抱っこをされ、歩き出している。

「ええっ!?」

 記憶のなかったお姫様抱っこが、朝からいきなり再現され、しかも寝起きから爽やかなイケメンの暁が、焦ったような切羽詰まったような動きで突き進む。

 動転しながらも、開け放たれた仕事部屋が目に入る。

「ええっ!?」

 更に驚きの声を上げた芹の視線の先を見た暁は、仕事部屋という名のゲーム部屋がバレたかもしれないが焦る余裕もなかった。

 寝室に入り芹をベッドに下ろした。

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