俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

急展開【3】

 違うところに住んでいるのだと思った。よく考えれば、新城堂の社長と行動を共にしているのだから、同じマンションの方が合理的なのだろう。

 もう一台は、真っ白なスポーツカーだ。車高も低く、趣味の車のイメージだ。

「こっちでいいか?」先程乗った高級車だ。

「どっちでも大丈夫です。電車でも帰れますから」

「いや、送ってく。住所は?」

 カーナビを操作しながら自然に聞かれると、警戒心なく答えてしまう。暁の思うツボなのだが、芹は気づいていない。しっかり、ナビに記録された。

 暁にとっては、芹の住所が分かってよかったが、警戒心のなさに心配になる。ここから、ナビの案内だと十五分程で着くようだ。

 運転する暁を見て、芹は胸がドキドキしている。男性の運転する車に乗るのは、父親と兄以外では初めてだ。しかも助手席から見る横顔は、凛々しくイケメンだ。二次元でしか経験のない胸の高鳴りに落ち着かない。

 この気持ちは何なのか…

 暁も、狭い空間ですぐ横に感じる存在にドキドキしていた。

 生まれた時から新城堂の御曹司という目で見られ育ってきたが、運が悪かったのか、今まで碌な女性に出会わなかった。

 イケメンで更には御曹司の暁を、勝手に理想の王子に仕立て上げ、少しでも理想と違うとがっかりされる。

 子供の頃から、ゲームに囲まれて生活してきたが、中学に上がる頃にはゲーム好きは隠していた。悪意があったのかはわからないが、女子達がゲーム好きの男子をゲーマーオタクと馬鹿にしだしたのだ。

 実は、今でも自宅マンションで、時間があればゲームをしている。芹に仕事部屋と言ったところは、本当は仕事よりもゲーム中心に作られた秘密部屋だ。

 芹も、乙女ゲームにハマっているので理解はしてくれそうだ。知っても、引かれたり馬鹿にされることはないだろうが、今までの経験上簡単には話せない。

 芹以上に暁を理解してくれる人はいないだろうが、慎重にはなってしまうのだ。



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