俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

俺様御曹司様【5】

「それよりも、呼び方を変えてくれ」

「…無理です」

「廉くんは普通に言えてるじゃないか」

「廉くんはリアルじゃないから言えるんです」

「暁くんって言ってみろよ」

「絶対無理!」

「まあいい、そのうち必ず言わせてみせる」

 俺様でゲームの中の廉くんと同じキャラの暁。マンションは、期待を裏切らないオシャレで広く綺麗に片付けられている。

「社長はここに一人でお住まいですか?」

「やっと俺に興味を持ったか?」

「いえ、広すぎるこの空間に一人って寂しいなぁと」

「…」

 広い高級マンションに住んでいると、羨ましがられることはあっても寂しいと言われるのは初めてだ。

「掃除も大変そうだし、光熱費も高そう…」芹がひとり呟く声が聞こえ、笑いそうになる。

「掃除は週に二度業者に入ってもらってる。光熱費は、引き落としだから金額は確認したことがない」

 芹のひとり言に答えてみた。

「えっ??私、声に出してました??」

「クッ、アハハハハハッ。無意識か」

「…恥ずかしい…」

 可愛い芹の一面を見れて満足の暁だ。

「芹は何で会社では目立たないようにしてるんだ?」

「理由は色々あります。女性が集まるとろくな事がないというのもあります。あとは、コスプレや乙女ゲームの趣味を知られずこっそり楽しみたい。それでなくても、あっ」

 なぜか会話を途中で止めた。

「なんだ?途中で止められると気になるだろう?」

「あ〜、う〜ん」なぜか言い淀む。

「なんでも言ってみろ」

「言いつけるみたいで嫌なんですが…」

「ああ」

「うちの受付のメンバーがちょっと…とにかく、そこと関わりたくないんです」

「受付…わが社の顔が、評判悪いようだな…そこは、俺に任せろ」

「えっ?何するつもりですか?」

「総入れ替えもありだな」とニヤッと笑う。なぜか笑っているようには見えない。思わず身震いしてしまう。

 社長の暁がひと言いえばすぐにでも実行されそうだ…

 実際、芹は相手にしていないが、シンジョーテックの子も、何人も被害にあってきた。受付でニコニコ笑って対応している裏では、かなりの腹黒いことが行われているのだ。


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