俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

俺様御曹司様【3】

 車は、芹にも馴染みの新城堂のオフィスビルの前を通過した。そして、すぐ近くのタワーマンションの地下に入っていく。

 新城堂のオフィスビル自体が、オシャレな街中に建っていて、交通の便が良い。その近くに建つこのマンションは、ちょっとやそっとのお金持ちじゃ住めない、超高級タワーマンションとして有名だ。

 芹の中では、廉くんと同じ二次元でしかありえない世界。ポカンとして、開いた口がふさがらない…

「着きました」

 普段なら、駿が降りてドアを開けてくれるのを待つ暁が、一番にドアを開けサッと降りたと思ったら、芹の座っている方に行き外からドアを開けた。

 あまりの素早い身のこなしに、駿も芹も驚き固まっている。

「あ、あ、暁、暁が自分でドアを…」

 幼稚園児が初めてのお遣いが出来たくらいの驚きようだ。

「芹」手を差し伸べる。

「えっと…」駿の言葉と暁の言動に驚き戸惑うまま、思わず手を出していた。

 そのまま、自然とエスコートされ車を降りたと同時に腰を抱かれる。

 駿も急いで車を降りようする。

「駿お疲れ様。今日は、もう帰ってくれていい。明日も休めるか?」

「え“…俺も一緒に…」

「いや、いい」

「…」

「で?明日は休めるのか?」

 駿は慌ててタブレットで確認する。

「明日は、急ぎの用は特に…新しいゲームソフトの確認くらいで」

「ああ。それならやっておく」

 新城堂のゲームソフトは、芹の勤める子会社の『シンジョーテック』がメインで開発しているが、他社とのコラボ商品もあるのだ。『シンジョーテック』の製品に関しては、暁のところに来る段階で完璧に仕上がっているが、コラボ商品に関しては社長自ら確認をしている。

 それこそが暁の秘密なのだが…

「…わかりました。その他の細かい仕事に関しては、こちらで調整しておきます」

「頼む。芹行こう」

 拒否権は全くないまま歩き出す。

 駐車場からエレベーターホールに入るのでさえカードを翳し、更にはエレベーターを呼ぶのにカードを翳し、エレベーターに乗り込みカードを差し込んでいる。

 セキュリティも超一流で、階数ボタンさえなくエレベーターは動きだした。


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